軍用機はルール無用? レーダー照射問題、韓国の反論動画が挙げる「国際条約」とは

アメリカ軍も民間航空条約を準用、軍用機との関係は

「国際民間航空条約は軍用機の飛行とは関係ない」という韓国側の主張は、じつは実際の情況とはかけ離れています。というのも、日本を含む各国は、軍用機の飛行について定めた国際的な条約などがないことをひとつの背景として、自国軍用機の行動について国際民間航空条約の規定を準用しているからです。

 その具体例として、アメリカ軍の規定を見てみましょう。まず、アメリカ国防総省が公表している、アメリカ軍機が国際空域(どの国のものでもない公の空域)で軍用機を飛行させたり、あるいはミサイルといった兵器を発射する際のルールなどについて定めた文書である「国防総省インストラクション(指示) アメリカ軍用航空機やミサイル発射のための国際空域の使用に関して」では、「実用的かつ任務と適合する場合には、国際空域で活動するアメリカ軍用航空機は、ICAOの飛行手続きに従わなければならない」と規定されています。

 さらに、日本の外務省がウェブ上でも公開している、「在日米軍による低空飛行訓練について」という文書によれば、在日米軍の航空機による訓練時の高度について「在日米軍は、国際民間航空機関(ICAO)や日本の航空法により規定される最低高度基準を用いており、低空飛行訓練を実施する際、同一の米軍飛行高度規制を現在適用している」と説明しています。つまりアメリカ軍では、国際民間航空条約に基づき設立されたICAOの規定を、そのまま軍用航空機の飛行について準用しているのです。

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米海軍のP-8A哨戒機。通常時は当然、ICAOの規定に基づき飛行する(画像:アメリカ海軍)。

 そして、自衛隊も日本の航空法という法律に基づいて航空機を運用していますが、これはそもそも国際民間航空条約の規定に準拠して作られたもので、つまり自衛隊も同条約に基づき航空機を運用しているといえます。

 以上から、韓国側の「高度150mは威嚇的な低空飛行であり、国際民間航空条約は軍用機には関係ない」という主張は、自国の同盟国であるアメリカ軍での基準にも疑問を投げかけるもので、今後この主張を継続していくのかが注目されます。

【了】

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コメント

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6件のコメント

  1. アメリカにも喧嘩を売る愚民の国。

  2. アメリカ軍も自衛隊も民間航空条約を準用とのことですが、韓国軍はいかがでしょうか?
    ぜひ調査していただきたいです

    • その通り。日米より韓国自体の空軍機の場合を教えて欲しいな。

  3. 実際問題、軍用機はこの手の制限がないのはその通りだけど、それならもっと低空でもOKという話だろ。
    言うことに一貫性がないのでは?

  4. 同じ乗り物ニュースの 関 賢太郎(航空軍事評論家)の記事と併せて読むと、興味深い。。。
    >たとえば韓国海軍は、P-1哨戒機とほぼ同様の運用をしているP-3哨戒機を保有していますが、韓国メディア「月刊朝鮮」の記者が2013年7月10日にこのP-3へ搭乗取材した記事によると、「目視識別のために高度を100mまで下げた」「外国の艦艇監視のため高度60mで接近飛行する」とあり、韓国海軍の哨戒機部隊自身が外国の艦艇に対して、今回の事件におけるP-1よりもはるかに低い高度を飛んでいることが分かります。
    https://trafficnews.jp/post/82564

  5. 果たしてレーダー照射問題は何処へ向かうのか?