軍用機はルール無用? レーダー照射問題、韓国の反論動画が挙げる「国際条約」とは

韓国艦艇が海自P-1哨戒機へ火器管制レーダーを照射したとされる問題に関し、韓国側は「日本が国際条約を恣意的に曲解している」と主張。どういう条約で、なにを曲解していると言っているのでしょうか。

そもそも「国際民間航空条約」とは?

 2018年12月20日に能登半島沖の日本海で発生した、韓国海軍駆逐艦「クァンゲト・デワン」が海上自衛隊のP-1哨戒機に対し火器管制レーダーを照射したと見られる件について、日本の防衛省が動画を公開したのに続き、韓国側も日本の主張に対する反論動画を公開しました。その内容および韓国側の主張は、おおむね以下の3点に要約されます。

(1)P-1が威嚇的な低空飛行を行った。
(2)日本は国際民間航空条約を恣意的に歪曲して解釈している。
(3)「クァンゲト・デワン」は火器管制レーダーを照射していない。

 これらのうち、(2)にある「国際民間航空条約」という単語は、あまり聞きなれないものかもしれません。

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海上自衛隊のP-1哨戒機(画像:海上自衛隊)。

「国際民間航空条約」は別名「シカゴ条約」とも呼ばれ、民間航空会社による「国際民間航空」が、安全かつ整然と発達することを目指して、これらが担う航空運送業務に関するルールなどを定めた条約で、その当事国数は実に192か国にも上ります。外務省によれば2019年現在、日本が承認した国の数は196か国ですから、ほぼ世界中全ての国がこの条約に参加していることになります。

 また、この条約に基づいて設立されたのがICAO(国際民間航空機関)という国連の専門機関で、民間航空事業の安全な発達を目指すべく、ハイジャック対策などに関する新たな条約の作成や、航空運送業務に関する国際標準やガイドラインの作成などを行っています。ここで策定された国際標準は、先に述べた国際民間航空条約の附属書という形でまとめられています。

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コメント

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6件のコメント

  1. アメリカにも喧嘩を売る愚民の国。

  2. アメリカ軍も自衛隊も民間航空条約を準用とのことですが、韓国軍はいかがでしょうか?
    ぜひ調査していただきたいです

    • その通り。日米より韓国自体の空軍機の場合を教えて欲しいな。

  3. 実際問題、軍用機はこの手の制限がないのはその通りだけど、それならもっと低空でもOKという話だろ。
    言うことに一貫性がないのでは?

  4. 同じ乗り物ニュースの 関 賢太郎(航空軍事評論家)の記事と併せて読むと、興味深い。。。
    >たとえば韓国海軍は、P-1哨戒機とほぼ同様の運用をしているP-3哨戒機を保有していますが、韓国メディア「月刊朝鮮」の記者が2013年7月10日にこのP-3へ搭乗取材した記事によると、「目視識別のために高度を100mまで下げた」「外国の艦艇監視のため高度60mで接近飛行する」とあり、韓国海軍の哨戒機部隊自身が外国の艦艇に対して、今回の事件におけるP-1よりもはるかに低い高度を飛んでいることが分かります。
    https://trafficnews.jp/post/82564

  5. 果たしてレーダー照射問題は何処へ向かうのか?