韓国艦レーダー照射事案、電波から何が見える? 現代戦における電波情報の重要性とは

韓国艦による海自P-1哨戒機へのレーダー照射問題について、防衛省が最終見解を出すとともに、探知したというレーダーの「音」を公開しました。レーダーの電波情報から、なにが見えてくるのでしょうか。

電波情報の収集はなぜ重視される?

 現代戦は、レーダーやネットワークを駆使した電波の戦いが主流ですから、事前の電波情報の収集は非常に重要です。航空自衛隊は防空識別圏(防空の必要から、領空の外側に設定する空域)内に侵入した不明機に対して、年1000回近くスクランブル発進を行っていますが、この不明機のうちかなりの数が電子偵察機です。すなわち、意図的にスクランブルさせることで相手(この場合、航空自衛隊側)にレーダーを使わせ、電波情報を収集していると見られます。

 こうした偵察行為は「電波諜報(ELINT)」または「信号諜報(SIGINT)」と呼び、どこの国も必ず実施しています。意外かもしれませんが、自衛隊もまたYS-11EB、EP-3といった電子偵察機を保有しており、中国やロシアにぎりぎりまで接近し電波情報収集を実施していると見られ、相手方の戦闘機にスクランブルされることも珍しくありません。

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ソ連製SA-6「ゲインフル」地対空ミサイルの発射機。火器管制レーダーを探知できないイスラエル空軍にとって最大の脅威だった(関 賢太郎撮影)。

 1973(昭和48)年、イスラエルとエジプトが戦った「ヨムキプール戦争」(「第四次中東戦争」とも)では、エジプト軍の高度な防空システムによって、イスラエル空軍はわずか3週間ばかりの戦闘で100機以上の戦闘機を失う、非常に大きな損害を受けてしまっています。

 特にエジプト軍の、ソ連製新型地対空ミサイルSA-6「ゲインフル」が果たした役割は大きかったといいます。これは当時、イスラエル空軍の主力戦闘機であったF-4E「クルナス」などのレーダー警戒受信機が、SA-6の「ストレートフラッシュ」火器管制レーダーを逆探知できなかったことが大きく、レーダー照射されても無警報であり、電波妨害もしかけることができませんでした。あらゆる方向から1ダース単位の地対空ミサイルが迫るなか、イスラエル空軍のパイロットは目視で警戒するしかなく、ミサイルの高い誘導性能もあって多数が撃墜されてしまったのです(エジプト側の戦果には機関砲などによる撃墜も含まれる)。

 このように、ESMやRWRといった逆探知装置は、軍用機の生存に欠かせない装備です。また単に搭載していただけでは意味がなく、情報を事前に持っていることが重要となっています。

【了】

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