「高級バスツアー専用車」続々のワケ 「格安ツアー」衰退、再び加速する豪華志向

いまが初めてではない、高級貸切バスブーム

 貸切バス業界では、1980年代に起こった「2階建てバスブーム」を皮切りに、多くの豪華車両が作られていきました。特に関西では、中央交通バス(大阪府八尾市)が欧州製2階建てバスを大量に輸入する一方、中央観光バス(倒産)は国産車両にシャンデリア、じゅうたん、テーブルを囲んだサロン席など豪華な内装を施した「オリエントエクスプレス」シリーズを展開するなど、ハイグレード車両が目立ちました。こうした事業者もあり、1990年代前半にかけて貸切バス全体のグレードアップが図られていったといえるでしょう。

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阪急交通社が導入する「クリスタルクルーザー『菫』」。デザイナーはJR東日本の豪華寝台列車「トランスイート四季島」を担当した奥山清行さん(画像:阪急交通社)。

 しかし、1990年代後半、その動きが止まります。理由のひとつは、バブル崩壊以降に法人需要(会社が費用を負担する社員旅行や、取引先を招いての旅行など)が減少したことです。さらに2000(平成12)年、貸切バス分野の規制緩和により競争が激化したことも大きく影響しました。豪華車両を指定する需要が減ったうえ、競争激化により貸切バス運賃(チャーター代)が下落したため、貸切バス事業者の多くは車両を標準タイプに揃え、車両稼働率を高める戦略を取ったのです。

 旅行会社も、貸切バス運賃の下落に加え、販売戦略の工夫(駅前店舗での販売からダイレクトメールと電話予約中心に変更、など)によりコストが下がったことで、「ランチ付きで日帰り3980円」といった格安ツアーを実現し、中高年層らの人気を集めました。1人あたりの旅行代金を抑えるため、座席が広く豪華な内装の車両より、座席定員が多い標準タイプの車両を優先したのです。標準タイプであれば、旅行会社は特定の貸切バス事業者に限定することなく、予約状況に応じ複数の事業者を使い分けられ、この点も効率的です。

【写真】車内にバーカウンターも 豪華ツアーバスいろいろ

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コメント

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3件のコメント

  1. 何と匙加減に欠ける企画やら、元々は格安ツアーなんていうのは垂れ流し事業認可の成の果ての姿はずなのだが
    如何にもそれらしい規制で市場を安定させたか?なものの言い様だが所詮は一応に名前だけ知れ渡っているデザイナーを殺陣にしただけの価値観の欠片もない高級思考への誘導なだけだろうに
    日本の大型車枠で妙な改造加えて審査に欠ける認可を追い風に馬鹿みたいな車を走らせると事故の時に被害が拡大するだけだろ
    以前も窓枠を広く取った強度不足のバスが東名の事故で屋根がもげた事故があったろうに、しかしながら格安の裏返しが高級バスとは何と微調整の効かない企画だことよなw

  2. 旅行会社もバス会社も企業として利益を上げなければならず、稼働率を取るか利益率を取るかで商品を販売するでしょうから
    稼働率は低くても利益率の高い高級志向ツアーの方が儲かるのであれば、バス運転手確保もままならない今、
    従来型バスツアーの市場が縮小傾向にあるのも仕方ないのかなと思います。

    ところで、15年ほど前に新婚旅行で5泊6日50万くらいの道東ツアーにいきましたが
    バスはエアロクイーンかなんかの観光バスを改造した特殊バスでした。
    最近の「何とかデザイン」のようなバスではなかったですが、当時としては斬新だったらしく、
    北海道の長時間移動はそれなりに快適でしたので、対価を支払う重要さは実感しました。

  3. 高級バスツアーではなく70インチリムジンを寄越して欲しい。