「高級バスツアー専用車」続々のワケ 「格安ツアー」衰退、再び加速する豪華志向

「格安」は時代遅れ? 潮目が変わったバスツアーのあり方

 近年、「クラブツーリズムファースト」などの豪華車両による高級なバスツアーに各社が注力する背景には、数多くの観光地や土産物店を駆け足で巡る格安タイプのツアーに、旅行者が飽きてきたことがあります。また、近年相次いだバス事故を受け、2014年に貸切バスの制度が改正され、運賃(チャーター代)が値上がりしたことも、格安価格を売りにしたツアーの企画を難しくしています。

 つまり、「特に行きたい目的地ではないけど、その値段で1日楽しめるなら参加しよう」というライトな旅行者中心ではビジネスが成立しなくなっています。そこで、多くの旅行会社が、旅慣れた人たちを対象に高級ブランドを立ち上げたのです。

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神姫観光バスが運行する「ゆいプリマ」姫路レザーシート車両(成定竜一撮影)。

「ゆいプリマ」や「クラブツーリズムファースト」が“水戸岡デザイン”であることに象徴されるように、鉄道の観光列車から刺激を受けたこれらのツアーは、コースの内容も魅力的です。「団体お断り」の小規模な個人旅行向け高級旅館や、玄人好みの秘湯の宿に宿泊する、あるいは美術館や寺院を貸し切りにして専門家がガイドしてくれるなど、「お手軽」を売りにした従来のバスツアーのイメージは大きく覆ります。また、列車から貸切バスに乗り換えて観光地へ向かったりするのに対し、バスは効率よく行程を組むことができます。

 それでは、このような豪華車両は今後も増えるのでしょうか。手軽さを売りに集客し、多数の観光地や土産物店を巡る従来型バスツアーが「お仕着せ」と捉えられ、市場が縮小傾向にあることは間違いないでしょう。一方で、高齢化が進むなか、自家用車を使わず、かつ乗り換えや手荷物などの負担が少ないバスツアーへの潜在的なニーズも小さくありません。そのため、バスツアーは多様化が進むと筆者(成定竜一/高速バスマーケティング研究所代表)は考えています。

【写真】車内にバーカウンターも 豪華ツアーバスいろいろ

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コメント

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3件のコメント

  1. 何と匙加減に欠ける企画やら、元々は格安ツアーなんていうのは垂れ流し事業認可の成の果ての姿はずなのだが
    如何にもそれらしい規制で市場を安定させたか?なものの言い様だが所詮は一応に名前だけ知れ渡っているデザイナーを殺陣にしただけの価値観の欠片もない高級思考への誘導なだけだろうに
    日本の大型車枠で妙な改造加えて審査に欠ける認可を追い風に馬鹿みたいな車を走らせると事故の時に被害が拡大するだけだろ
    以前も窓枠を広く取った強度不足のバスが東名の事故で屋根がもげた事故があったろうに、しかしながら格安の裏返しが高級バスとは何と微調整の効かない企画だことよなw

  2. 旅行会社もバス会社も企業として利益を上げなければならず、稼働率を取るか利益率を取るかで商品を販売するでしょうから
    稼働率は低くても利益率の高い高級志向ツアーの方が儲かるのであれば、バス運転手確保もままならない今、
    従来型バスツアーの市場が縮小傾向にあるのも仕方ないのかなと思います。

    ところで、15年ほど前に新婚旅行で5泊6日50万くらいの道東ツアーにいきましたが
    バスはエアロクイーンかなんかの観光バスを改造した特殊バスでした。
    最近の「何とかデザイン」のようなバスではなかったですが、当時としては斬新だったらしく、
    北海道の長時間移動はそれなりに快適でしたので、対価を支払う重要さは実感しました。

  3. 高級バスツアーではなく70インチリムジンを寄越して欲しい。