増える副駅名 「正式」ではない点がメリットに

駅名変更より低コストで、わかりやすく

 このように、副駅名の第一の目的は「分かりやすさ」です。分かりやすいというなら、駅名そのものを変更したほうが良いとも言えそうです。しかし、大森海岸駅を「しながわ水族館駅」にすると、地元の人々は「ここは水族館だけの街ではない」と思うかもしれません。また、「大森海岸駅前店」など駅名を冠した店舗や案内地図は「しながわ水族館駅前店」への変更が迫られます。施設と駅の位置が離れていると、駅前か水族館前か、立地が曖昧になってしまいます。

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副駅名「横須賀スタジアム」が追加される追浜駅の駅名標イメージ(画像:京急電鉄)。

 副駅名の傾向は「駅名は地域を表し、副駅名は施設を表す」と考えて良さそうです。もちろん例外もあります。たとえば埼玉新都市交通ニューシャトルの鉄道博物館駅(さいたま市)です。副駅名が「大成」となっていて、駅名が施設、副駅名が地域です。この駅はもともと大成駅でしたが、鉄道博物館の開業と同時に鉄道博物館駅へ改名しました。地元からは大成駅の名称存続が要望されたため、副駅名として大成が採用されました。しかし、2019年2月6日(水)、筆者(鉄道ライター・杉山淳一)が「鉄旅オブザイヤー」授賞式の取材で鉄道博物館へ出掛けたときは、駅名標や車内放送から「大成」が消えていました。副駅名の存在感が薄くなっているようです。

 駅名変更も副駅名も、鉄道路線の利用者に分かりやすさを提供する取り組みです。影響力は駅名変更のほうが大きくなります。

 しかし、副駅名にもメリットがあります。それは、駅名変更よりも低コストであることです。駅名変更の場合は駅構内の掲示物を変えるだけではなく、車両内の駅名表示システム、路線図、駅周辺の「○○駅前」と名乗る施設、駅名を表記している近隣他社の鉄道路線図、市販の地図や時刻表などに波及します。特にIC乗車券を採用している場合、提携先のIC乗車券システムの改修も必要となります。

 これに対し、副駅名の場合は、最小限で駅の掲示物の変更だけで済みます。該当する駅以外では、掲示物をリニューアルするまでは副駅名を書いたシールを貼って対応する事例もよく見かけます。ほかの鉄道会社や駅周辺の企業にとっては、駅名変更ではないため副駅名の追加まで従わなくて良いですし、またIC乗車券システムの改修も不要です。駅名変更より副駅名の設定のほうが手軽で、短期間で変更しても「駅名変更」ほど大きな影響を与えません。

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