雪に強い鉄道と弱い鉄道、何が違うのか 都会が弱い要因は「設備」だけではない?

降雪時「間引き運転」の背景

 気象庁の調べによると、東京では過去30年間(1988年冬~2017年冬)に年平均8.5日、雪が降っていますが、1cm以上の積雪は年平均1.6日でほとんどの場合、積雪に至りません。積雪が運行に影響を及ぼし得る10cm以上の積雪となると、年平均0.37日、つまり3年に1度あるかないかです。もっともこれは、2013(平成25)年から2014(平成26)年にかけての冬の記録的大雪によってかさ上げされた数字で、実際には1999(平成11)年から2013(平成25)年までの14年間、10cm以上の積雪は1度もありませんでした。

 首都圏でも2014年の大雪を教訓に、ポイント不転換を防ぐ融雪機の増設が進んでおり、通勤車両も耐雪ブレーキの装備が一般的になりました。また降雪時はレールの積雪や架線の凍結を防ぐために、深夜も1時間おきに列車を運行するなど、様々な対応がとられていますが、それでも雪の影響によりブレーキ力が低下することや、何らかの理由で運行がストップしたとき、列車の本数が多く駅間に停車せざるを得なくなる事態を防止するために、いわゆる「間引き運転」が行われています。

 降雪時に行われる間引き運転は、通常の7割から5割、場合によっては3割程度まで運行本数を減らすことがありますが、1時間あたり20本(3分間隔)の路線であれば5割減で10本(6分間隔)、3割まで減らしても6本(10分間隔)も運行しています。これだけの本数がある雪国の路線は、ほとんどありません。首都圏の鉄道が雪に弱いのは、設備上の対策だけではなく、そもそもの運転本数が全く異なるという大きな違いがあるのです。

【了】

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