陸上戦が戦車だけでは勝てないワケ 歴史が証明、単独ではとても無理! 実際どう戦う?

「陸の王者」ともいわれる戦車ですが、単独ではとても戦えたものではなく、それは歴史が証明しています。90式戦車を擁する陸自「機甲師団」の射撃訓練を通し、実際のところどのように戦っているのかを見ていきます。

戦車が一方的にやられたもっともなワケ

 戦車がこれほどまでに、一方的にやられてしまったのは、おもに視界と武装に問題があったからです。

 ゲームでは、モニター画面上に周りの様子がよく見えるよう表示されているなどしますが、リアルでは搭乗員が戦車のなかに入ってしまうと、外の様子はとても分かりにくくなります。比較的、周りが見えるのは車長だけで、操縦手は前だけ、砲手は大砲の向いている方向しか見えていません。テレビカメラやセンサー類が発達してきていますが、埋められている地雷や物陰からコッソリ近づく敵兵に気が付かないこともあります。

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第4次中東戦争でエジプト軍が使用した対戦車ミサイル「9M14マリュートカ」。有線誘導で潜望鏡を覗きつつミサイルを操縦。写真はポーランド軍(画像:ポーランド陸軍)。

 さらに、戦車の大砲は強力ですが、直接見える敵しか狙えません。こちらには見えない位置から撃ってくる敵の砲兵や、対戦車ミサイルに反撃するのは困難です。敵の飛行機やヘリコプターもしかりで、これらが現れたら逃げ隠れすることしかできません。

 戦車部隊が戦闘任務を遂行するには、そうした脅威に対し、戦車を援護する砲兵、戦車の見えにくい場所をカバーする味方歩兵、敵の航空機に反撃する対空部隊など、いろいろな職種の協力が不可欠です。

 このように、戦車はゲームのように単独で戦うことはありません。というより、戦えないのです。

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