戦車の砲弾、射撃後の空薬莢はどう処理するの? 狭い砲塔、溜まる薬莢、しかも熱い!

戦車の砲弾は基本的に銃弾などと同じ構造で、通常の砲弾の場合、射撃後には薬莢が残ります。演習などでは連続して射撃する姿も見られますが、狭い砲塔内で空薬莢はどう処理しているのでしょうか。

薬莢を投棄するさまざまな方法

 戦闘に邪魔な撃ち殻薬莢は車外へ投棄するだけなのですが、たとえば陸上自衛隊が装備する74式戦車の、砲塔上の装填手ハッチ(砲塔上部左側のハッチ)には、真ん中に小さいハッチが備えられています。これは「薬莢投棄窓」と呼ばれ、戦闘中に装填手ハッチを閉じた状態でも、この投薬窓から薬莢を投棄することができます。また、たとえばスウェーデン軍が装備していたStrv.103戦車(通称「Sタンク」)は射撃後、薬莢を車体後部から車外へ自動排出する仕組みを有していました。

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74式戦車の装填手ハッチに「薬莢投棄窓」の小ハッチ(月刊PANZER編集部撮影)。
M4「シャーマン」は砲塔側面のハッチから排莢。弱点でもあった(月刊PANZER編集部撮影)。
M60「パットン」の装填手ハッチにも排莢用の小ハッチが見える(月刊PANZER編集部撮影)。

 しかし、ある新技術の登場で、それまでの撃ち殻薬莢の処置方法は劇的に改善されました。その新技術とは「焼尽薬莢(しょうじんやっきょう)」です。これは文字通り、砲弾の発射時に薬莢そのものが装薬とともに薬室内で燃え尽きるもので、弾底部だけが排出されます(そのため厳密には「半焼尽式」)。排出された弾底部は砲尾部の下に設けられた専用の容器などに落下し、ある程度、溜まったらまとめて投棄します。

 そのなかでも特異な例として、ロシアのT-72戦車とその派生型は、砲塔後部上面に小型ハッチがあり、砲の射撃後、自動でそのハッチから弾底部を投棄する仕組みになっています。砲塔が小さく、戦闘室が非常に狭いロシア製戦車ならではの機構といえるでしょう。

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Strv.103の車体後部。射撃後、丸囲い部分から自動排莢(月刊PANZER編集部撮影)。
チャレンジャー2は分離薬莢のため、弾頭と装薬が別(画像:アメリカ陸軍)。
90式戦車の120mm砲弾弾底部を重ねて運ぶ陸自隊員(月刊PANZER編集部撮影)。

 現在、世界各国の軍隊が装備する主要な戦車は、おおむね第3世代(レオパルト2、チャレンジャー2、T-90など)から第3.5世代(レオパルト2A6、ルクレール、M1A2SEPなど)と呼ばれていますが、そのほとんどが焼尽薬莢の砲弾を使用しています。

 陸上自衛隊では、74式戦車の後継で第3世代にあたる90式戦車の120mm砲、および、10式戦車の120mm砲がこのタイプの砲弾を使用しています。そのため、90式戦車と10式戦車のハッチには、74式戦車に備えられていた投棄窓のようなものはありません。

【写真】燃える薬莢、90式戦車の120mm砲弾

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