戦車の砲はなぜひとつ? 多砲塔戦車が廃れ単砲塔単砲身に落ち着くまでの紆余曲折とは(写真14枚)

かつてはたくさんの砲塔や砲身を備えた戦車もありましたが、その誕生からおよそ100年、世界中どこを見ても砲塔ひとつに砲身がひとつという同じカタチをしています。そこに落ち着いたのには、実にわかりやすい理由がありました。

砲塔ひとつ砲身1本のナゼ

 戦車といえば、角ばった車体に履帯(いわゆるキャタピラー)を付けて、砲塔を1個載せているという形でどの国の戦車でも同じです。一方、マンガやアニメでは砲塔を多数載せた、もしくは砲身を複数装備する戦車も存在します。それが現実ではなぜ各国とも単一砲塔に単一砲身という同じ構造に落ち着いてしまったのでしょうか。

Large 20181003 01
イギリスのボービントン博物館に展示・保存されている「インディペンデント」重戦車(月刊PANZER編集部撮影)。

 戦車が発明されて約100年経ちますが、実のところそのあいだには、現在では見たことも無いような形の戦車がいろいろと造られています。そのなかのひとつとして、過去「多砲塔戦車」も存在しました。

 多砲塔戦車は文字通り、砲塔を2個以上載せているのが特徴です。砲塔が1個しかなければ、敵が反対から現れた場合、すぐに撃つことができません。しかし2個以上あればあるほど、あらゆる方向をより早く撃つことができます。いうなれば戦艦のように。それならば、砲をたくさん載せた戦艦を小さくしてキャタピラをつけた「陸上戦艦」は最強の戦車になりそうです。

 戦車が発明された第一次世界大戦当時は、地面に掘った塹壕に立てこもって戦うことが多く、攻め手はこの塹壕をどうやって突破するかで苦労しました。解決方法のひとつが戦車で、撃ってくる敵の弾を跳ね返しながら、突撃する味方を援護して敵の塹壕に乗り込んでいくことが戦車の役割でした。

 第一次世界大戦が終わると、各国は戦車が強力な新兵器であることを理解しました。多くの砲や機銃を備えた戦車で敵の塹壕に乗り込んで行ってあらゆる方向に撃てれば、さぞ有利だろうと研究が始まりました。こうして多砲塔戦車は生まれたのです。

この記事の画像をもっと見る(14枚)

最新記事

コメント

6件のコメント

  1. 昨今の市街戦等の歩兵対策で砲塔上に装備されるRWSなんて多砲塔戦車の再来って言えなくもない?

    その前にアメリカのM60戦車の車長キューポラ内装の.50calもそんな感じだけど。

  2. ロマンがあるだけに来て欲しい多砲搭戦車が見直される日

  3. 多宝塔の精神は日本で生きている。

  4. この手のライターさんは、

    なぜパットンやリーやラム等の銃塔を無視するのか。

    多砲塔戦車の中でも特異なT-35を代表扱いするのか。

    T-35が採用時点の戦車の中では重装甲だったことを無視するのか。

    T-28が当時BTを除けば最高クラスの機動力だったことを無視するのか。

    英の多砲塔戦車はA1E1以外機動戦車の系列だということを無視するのか。

  5. 公式に多砲塔戦車というカテゴリが存在するわけではなく、後世の人間が複数の砲塔を持つ戦車の一部を恣意的にそう呼んでいるだけです。

  6. ついでにインデペンデントが複数の銃塔を持つのは、WW1で戦車の機動力に追従できなかった随伴歩兵の代わりに戦車を守る、いわば歩兵からインデペンデントする為という明確なもの。記事中のようなぼんやりした理由ではありません。

記事ランキング

  1. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  2. 「断固たる措置を講じる」首都高公式ブチギレ! 「公平性を著しく損なう」非常識ドライバーに“鉄槌”…一体何が?
  3. 「知らなかった!」SNSで話題に 高速道路の“2つ並んだ赤い三角コーン”、実は超重要な「ある合図」だった! NEXCO公式が投稿
  4. 神奈川県警の“バイクは自転車レーン走るな”投稿にツッコミ殺到! 「自転車にも車にもバイクにも迷惑です」…何が問題に?
  5. 史上最大の軍艦より135mもデカい!? 旧海軍「大和」を凌ぐ『エースコンバット8』の新ボス「陸上戦艦」の衝撃スペックとは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号