生活環境から眺める「海自P-1哨戒機」という職場 長時間飛ぶ飛行機だからこその特徴は

正副操縦士のお弁当は必ず別メニュー

 小笠原1尉はさらに、「P-1では、11名の搭乗員はすべて所定の配置について任務をしています。もしそこを離れてしまった場合、センサーなどが機能しないことになってしまいますので、ギャレーは基本的に、搭乗員が休憩のために使うことはありません。パッセンジャー(乗客)が使用することはありますけれども」と続けました。

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ギャレー区画左舷側にある休憩スペース。4座席とテーブルがあるが、搭乗員はほとんど使っていないという(関 賢太郎撮影)。

 ギャレー区画にはトイレもあり、さすがにこれについては「所用のため席を外します」とひとこと言えば使えるようですが、平均8時間にもおよぶ飛行であるにも関わらず、たとえば「15分休憩」といった息抜きはないそうです。

 一方で、お弁当が支給され、食事をすることはできるようです。

「食事については、普通のお弁当屋さんのものと変わりません。P-1には、P-3Cのころにはなかった電子レンジがあるため、お弁当を温めることができるようになりました。また万が一の食中毒に備え、必ず2種類が用意されており、正副2名の操縦士は別々のお弁当を食べます」(小笠原1尉)

 P-1のギャレーには座席とテーブル、トイレ、給湯器、冷蔵庫、電子レンジといった設備があります。なお、P-3Cに装備されていた簡易ベッドは、P-1にはありません。

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ギャレー区画右舷側に2座席とテーブル、P-3Cに装備されていた仮眠用ベッドは、P-1にはなく、収納棚が装備されている(関 賢太郎撮影)。
P-1のトイレ。左側シルバーのものは男性小用便器(関 賢太郎撮影)。
P-3Cの休憩スペース。上に仮眠用ベッドがあるがP-1同様、荷物置き場に(関 賢太郎撮影)。

 第3航空隊副長の小俣泰二郎1等海佐は、「P-3Cの仮眠用ベッドは、アメリカ軍が同機を使っていたころの名残」だと言います。

「アメリカ海軍のP-3Cは、冷戦時代、ソ連の潜水艦がアメリカ西海岸まで近寄ってきていたころなどは、航続時間ギリギリまで飛んでいたそうです。そのためパイロットを3人とし、ひとりは休みましょうというコンセプトで運用していたようです」(小俣1佐)

 同型機である海上自衛隊のP-3C哨戒機は、前述のように約10時間の飛行が可能とのことですから、それだけ長く飛ぶのであれば、さすがに休憩も必要になるでしょう。

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