【「平成」と乗りもの】高速バスの乗客、バブル期は都会に焦がれた若者 30年後の車内は

高速バスはまず「地方から都会への足」として定着し、平成を通じて大きく成長しました。豪華志向のバブル時代から、エコノミー志向のデフレ時代へと移り変わるなか、利用者や車両も多様化。いま高速バスは、通勤や外国人旅行者の移動手段としても選ばれています。

通勤や外国人旅行者の移動手段にも

 2019年現在、高速バスは毎日1万5000便が運行され、年間輸送人員は1億1500万人と、航空国内線を2割ほど上回るまでに成長しました。ただ、その内訳には変化が見られます。「高速バス開設ブーム」に沸いた平成初期は、首都圏~北東北や京阪神~九州など長距離の夜行路線が目立ちましたが、近年は新幹線網の拡充や航空自由化(LCCの台頭)の影響を受け、長距離夜行市場が縮小しています。

 それに代わり、おおむね片道250㎞、所要4時間以下の短・中距離が市場を大きく伸ばしています。なかでも、千葉県木更津市、袖ケ浦市周辺から東京湾アクアラインを経由して東京都心へ向かう路線や、山形~仙台間などでは朝ラッシュ時に3分間隔などと頻発し、鉄道に代わる通勤需要も取り込んでいます。1台当たりの定員が少なく、高頻度で運行できる高速バスは、所要時間のうえでも自宅から大都市の目的地まで鉄道と大差ない場合も。乗客は、夜行便では若年層が中心ですが、昼行便では老若男女、出張客らも多く見かけます。

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「佐野プレミアム・アウトレット」に乗り入れるジェイアールバス関東の東京~佐野線(2018年12月、中島洋平撮影)。

 乗客の変化という面では近年、新しい動きも生まれています。インバウンド(訪日外国人)の急増です。彼らの旅行形態が、貸切バスを使う団体ツアーから、高速バスや鉄道を乗り継いで旅行するFIT(個人自由旅行)に変化しているのです。富士五湖や高山、白川郷といった中部地方の山間部、九州の湯布院など、鉄道の利便性がそれほど高くなく、「日本らしさ」が残っている地域への路線が人気です。また日本人観光客のあいだでも、大都市郊外からテーマパークやアウトレットモールへ直行する路線の利用が増えています。

 平成の終わりを迎え、かつての「フェニックス族」のように、憧れの都会へ焦がれるように高速バスへ飛び乗る若者は減ったように感じます。当時の若者が親の世代となり、大型ショッピングモールも続々と開業したいま、若者にとって地方はほどほどに住みやすく、昔ほど「逃げ出したい土地」ではなくなっているのでしょう。入れ替わるように、地方出身で都市に住む当時の若者世代が、親の介護などのため高速バスで地元に向かう姿が見られます。この「30年後のフェニックス族」こそ、「平成」日本社会の変化の象徴かもしれません。

【了】

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コメント

2件のコメント

  1. 新幹線の路線拡充はやむ無しだけど、格安飛行機はいらないと思う。

    格安って言っても所詮、条件付きだし。

  2. >高速バスは毎日1万5000便が運行され、年間輸送人員は1億1500万人、

    >航空国内線を2割ほど上回るまでに成長しました

    すごいねえ

    今後は高速の自動運転化が進むし、安全性も飛躍的に向上していくだろう

    同じ理由で渋滞も減少するから、定時性も向上する

    新幹線から高速バスへ逆戻りする客も確実に増えるだろうなあ

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