【空から撮った鉄道】「トワイライトエクスプレス」を札幌で迎える
2015年3月のダイヤ改正で廃止された「トワイライトエクスプレス」は、大阪と札幌を約22時間かけて走る日本最長距離の寝台特急でした。廃止が秒読みとなる2014年晩秋、北の大地で深緑の車体を迎えました。
日本最長距離を走った寝台特急
「トワイライトエクスプレス」は1989(平成元)年のデビュー以来、大阪と札幌を約22時間かけて結び、日本最長の寝台特急として君臨してきました。編成は「スイート」から開放式2段寝台とバラエティに富み、とくに下り列車では、ランチタイム、ディナーライム、パブタイム、モーニングタイムと、食堂車が昼間から翌朝までフル回転していました。
寝台特急「トワイライトエクスプレス」は8001レ、8002レと、不定期運行の列車番号であるもののほぼ毎日のように走り、ふらっと窓口で切符を買って乗り込める列車で、「いつでも走っている、非日常を味わえる長距離列車」という存在でした。しかし、惜しむらく2015年3月12日の上り列車の運行をもって廃止されました。つい4年前までは、20時間以上も走る寝台列車が日常であったと思うと、もっと注目するべきだった、これも時代の流れなのかと複雑な感情が交差しています。
長旅を終える「トワイライトエクスプレス」を撮影すべく
さて、話を2014(平成26)年11月28日に遡りましょう。私は渡道して寝台列車が札幌へ到着する姿を空撮しました。長旅の終わりを捕らえたかったのです。27日は寝台特急「北斗星」、翌28日は「トワイライトエクスプレス」。東京と大阪、二大都市からやってくる寝台列車を2日がかりで飛んで捉えました。なお28日札幌着の「トワイライトエクスプレス」は、青函トンネルの新幹線設備工事による時刻変更で列車番号を9001レと変更し、札幌着が遅れる設定でした。
午前10時過ぎ、丘珠空港を離陸。10時25分、「トワイライトエクスプレス」が千歳線の島松駅(北海道恵庭市)を過ぎたあたりの穀倉地帯を快走しているところをキャッチ。望遠と広角、それぞれのレンズを装着した2台のカメラを交互に持ちながら、重連のDD51形ディーゼル機関車を狙います。
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Writer: 吉永陽一(写真作家)
1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。