天皇陛下ご乗車の「お召し列車」どんな列車? 運転に際して指示される特別な決まりも
特別車両には乗れないが…
2019年4月のお召し列車では、東海道新幹線のN700Aと近鉄特急「しまかぜ」用の50000系電車が使われました。これらは一般の列車で使われている車両を貸し切ったものですが、JR東日本のE655系電車「和(なごみ)」のように、お召し列車や御乗用列車で使うことをおもな目的に製造された車両もあります。
E655系は2007(平成19)年に製造されました。車体の色は紫がかった褐色(茶色)をベースに金色の帯が巻かれており、荘厳な雰囲気。編成ほぼ中央の1両が皇族の乗る「特別車両」で、その前後に連結されている車両はグリーン車です。
特別車両の詳細は公表されていませんが、車体の中央に皇族が乗られる「特別室」があり、菊柄の絹の織物を使ったソファや、高級スギを使ったテーブルなどを設置。車体側面の中央にくぼみがり、お召し列車として運転するときは菊の御紋が取り付けられます。
特別室の窓(片側3枚)は天地、左右ともに大きく、特に中央の窓は幅が2.2mもあります。天皇陛下はお召し列車に乗られているあいだ、沿線で列車の通過を見守っている人に対して手を振られることが多く、外からも陛下が手を振られる姿をはっきりと見ることができます。
お召し列車に乗車できるのは、先に述べた天皇、皇后、皇太后陛下と、警備員など同行する関係者だけ。ほかに外国の賓客が乗ることはあるものの、一般の人は乗れません。ただ、E655系に乗ることはできます。
E655系は一般列車での使用を考慮して製造されており、その際は特別車両を外したグリーン車5両編成の団体列車として運転されます。「E655系『和(なごみ)』で行く○○の旅」といった名前の旅行商品が販売されることも多く、比較的簡単に見つかります。
グリーン車の内装は木目調で、座席は横1列に3席(1+2席)と、ゆったりした配置。電動リクライニングやタッチパネル式大型モニターも備えています。特別車両ではありませんが、お召し列車に乗った気分になれるかもしれません。
【了】
Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)
鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。
先代(もう少しで先々代)の昭和天皇の時代はともかく、今帝である(もう少しで存命ですが平成天皇になられる)陛下はお召列車とはいえ簡素化を旨とされてましたね。2008年にスペイン国王とつくばエクスプレスに帰り乗られた時はわざわざE655系を新製したJR東日本への当てつけという話があったりなかったりと(行きはE655系乗車、その後もE655系に乗車されてますがWikipediaの記述を見る限り、特別車両の連結はそこまでもないようで)。
訪問先が、つくば市の宇宙研究施設や筑波大学などだったから、つくばエクスプレスに乗られるのは当然でしょう。
逆にTXがないころは現在のひたちの牛久(旧・万博駅)や土浦から降りてつくば方面へ行ってたのでしょうから