「朝7時に完売」「首都圏から消えた」 入手困難「レア駅弁」、それぞれの事情

人気すぎて首都圏から消えた駅弁も

 入手困難な駅弁はほかにもあります。いくつか例を挙げていきましょう。

郡山駅「海苔のりべん」

 郡山駅(福島県郡山市)の「海苔のりべん」は首都圏でも買えるものの、「レア」な存在となってしまった駅弁です。もともと福島県内の駅でのみ販売されていましたが、テレビで取り上げられるなどして徐々に人気となり、首都圏でも販売が開始されました。全国の駅弁が揃う東京駅の「駅弁屋・祭」では、1日60個入荷しても、平均18分で売り切れるという人気ぶりを見せます。製造元で安定供給が難しいことから、2018年11月に首都圏での販売をいったん終了しました。その後、「駅弁屋・祭」では土休日の10時30分から11時30分ごろ(当日の状況によって前後)に入荷されるようになりましたが、すぐに完売してしまうほか、郡山駅でも売り切れの場合があります。

留萌駅「にしんおやこ弁当」

 留萌駅(北海道留萌市)の「にしんおやこ弁当」は、ご飯の上に、甘く煮詰めた身欠きニシンと大きな数の子が2本ずつと、付け合わせがのったシンプルな駅弁ですが、販売は1日10個程度に限られています。予約は構内にあるそば店の人に直接伝えるか、電話で行います。ただ、留萌駅がある留萌本線の運転本数が少ないうえ、2017年には留萌~増毛間が廃止、残る深川~留萌間もJR北海道から沿線自治体へ廃止の意向が伝えられている状況です。

厚岸駅「かきめし弁当」(通称「氏家かきめし」)

 厚岸駅(北海道厚岸町)の「かきめし弁当」は、カキなどの煮汁とひじきで炊き込んだご飯の上に、カキやツブ貝、アサリなどがたっぷりとのった、1960(昭和35)年発売の名物駅弁。近年は厚岸駅のある根室本線の列車本数が大きく減り、構内のキオスクも閉鎖、ホームで行われていた立ち売りも終了し、鉄道旅では手に入れにくくなっています。しかし、食堂を兼ねた駅弁の製造元である厚岸駅前の「氏家待合所」にクルマや観光バスで訪問する人は多く、注文が途切れることはありません。事前に予約すれば、時間帯によっては駅ホームまで弁当を届けてくれます。

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厚岸駅の「かきめし弁当」(2012年12月、宮武和多哉撮影)。

 ちなみに、駅弁ではありませんが、駅での立ち売りが有名だった奥羽本線 峠駅(山形県米沢市)の「峠の力餅」も、現地での入手が困難な名物のひとつ。かつては峠駅での停車時間が長かったこともあり、そのあいだにホームで買える旅の名物となりましたが、現在の列車本数は平日上下6本、停車時間は1本あたり最短で30秒ほど。製造元である駅前の「峠の茶屋 力餅」で買うこともできますが、駅までの道は細く険しく、クルマで気軽に行けるとは言いがたい場所です。電話で予約すればホームに届けてくれますので、短い停車時間のなかで購入するのがいちばん確実でしょう。

【了】

【写真】東京駅で変えたらラッキー 売り切れ必至「海苔のりべん」

Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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コメント

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4件のコメント

  1. これじゃ駅弁の役を果たしてねーだろ
    供給できないなら駅弁の枠から外せ!
    7時に完売とか人を小バカにしてんのか?
    アホみたいな早い者勝ち商売の火種が未だに燻るのは行列に参列すれば一応の誉とする実際に鼻の効かない消費者が増えた証だろ
    煽るほうもアホに煽られるアホ同じアホなら食わなきゃ損なのか?w

    • そうか、高齢の婆さんに過重労働をさせようということだな

      日本人のブラックなご意見を聴かせていただいてありがとう

    • >駅弁の枠から外せ!

      ……「駅弁の枠」って誰が決めるの?
      あんたが勝手に決めることなら、勝手に外せば?

  2. 結局の所東京駅で何を変えるのだろう