超音速旅客機の夢は死なず 「コンコルド」退役までの一部始終と昨今の開発動向

超音速旅客機の夢、再び

「ソニッククルーザー」の開発が頓挫した後も、NASA(アメリカ航空宇宙局)や欧米の主要なメーカーや大学などの研究機関は超音速旅客機の研究を続けてきましたが、その研究は必ずしも実用化を前提したものではありませんでした。しかし2010年代に入ってから、商業運航を前提とした、いくつかの企業が超音速旅客機の開発計画や構想を発表しています。

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ブーム社が開発する超音速旅客機のイメージ(画像:BOOM TECHNOLOGY)。
アエリオンが開発する超音速ビジネスジェット「AS2」のイメージ(画像:アエリオン)。
ボーイングによる極超音速旅客機のコンセプト模型(2018年7月、竹内 修撮影)。

 そのひとつであるアメリカのベンチャー(スタートアップ)企業、ブーム・テクノロジー社の計画は、巡航速度マッハ2.2毎時、座席数45席から55席の小型超音速旅客機計画を、2020年代に実用化するというものです。ブーム・テクノロジーは2016年11月に超音速旅客機の技術実証機「XB-1」を発表しており、2017年にはJALが同社と資本提携を行ない、超音速旅客機20機の優先発注権を確保する方針を発表しています。

 またアメリカのネバダ州に本社を置くアエリオン社は、2023年の初飛行を目指して、時速マッハ1.4で飛行するビジネスジェット機「AS2」の開発を進めています。ボーイングは2019年2月に、アエリオンと超音速旅客機分野で業務提携を行なうと発表しており、同社はAS2に多額の投資を行なうとともに、開発にも協力して、AS2の早期市場投入を図るとしています。

 AS2に投資しているボーイングは2018年6月にアメリカの学会で、同社の旅客機「787」とほぼ同サイズの全長61m、全幅21.6mで、最大時速マッハ5.0で飛行し、ニューヨークとロンドンのあいだを2時間半程度で結ぶ、極超音速旅客機の構想も発表しています。

 これらの超音速旅客機の開発には多額の投資が必要とされ、また実用化されたとしてもユーザーが運用経費の高さなどを嫌って、セールス面での成功は覚束ないとの意見も少なからずあります。ただ、超音速旅客機には、航空旅行の姿を大きく変える力を秘めていると筆者(竹内修:軍事ジャーナリスト)は思いますし、ひとりの航空ファンとしては、その飛ぶ姿を見たい、乗ってみたいという気持ちも強く持っています。

【了】

【写真】速度の対価か、「コンコルド」のちょっと残念なシート

Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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コメント

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3件のコメント

  1. 航空ファンじゃなくて軍事ファンでは?

  2. コンコルドの開発当時、世界最速だったコンピューターは「ガラケー」の10分の1以下の性能しかなかった
    あれから50年が経ち、空力シミュレーションや新素材開発の面で飛躍的に進化を遂げた事を考えると
    燃費と高速性を両立した旅客機が生まれるのではないかという希望は持てそうだ

  3. マッハ2.2毎時、時速マッハ1.4
    マッハ数は音速との比なので単位はないはず