空自の新型空中給油機KC-46A 見た目変わらぬ従来機KC-767とはどこがどう別モノなのか
そもそも空中給油はどうやるの?
現在アメリカ空軍が運用しているKC-135、KC-10の両空中給油・輸送機は、機体の後部に配置された「ブーム」と呼ばれる給油パイプをオペレーターが目視で操作し、給油を受ける航空機の給油口にこれを差し込む「フライング・ブーム」と呼ばれる方式で空中給油をしています。KC-767は操縦席後方の遠隔操作ステーションに配置されたオペレーターが、機体底部に設置されたカメラの捉えたブームの様子を見ながら、これを操作して給油を行なう仕組みとなっています。
KC-46AもKC-767と同様、遠隔操作ステーションからブームを操作しますが、KC-767では離れて配置されていたオペレーターの遠隔操作ステーションと座席が、KC-46Aは横並びに変更されており、給油作業の確実性と訓練効率の向上が期待されています。またKC-46Aに採用された遠隔操作ステーション「AROS」は、オペレーターが専用のゴーグルを装着することで、メインディスプレイの画像を三次元(立体)映像として捉えることができます。
KC-46Aはこのほか、両主翼下に搭載する給油ポッドを使用して、先端に漏斗のような形のエアシュートの付いたホース(ドローグ)を伸ばし、給油を受ける航空機が自機の給油パイプをエアシュートに差し込んで給油する「プローブ・アンド・ドローグ」方式の空中給油能力を備えています。これは現時点で、航空自衛隊のKC-767には備わっていない能力です。
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2019年8月の時点で、航空自衛隊が保有する「空中給油を受ける能力を持つ航空機」は、捜索・救難ヘリコプターのUH-60Jを除くと、F-35A戦闘機を含めすべてフライング・ブーム方式の受油装置を装備しています。一方、2018年12月に導入が決定したF-35Bの受油装置はプローブ・アンド・ドローグ方式です。航空自衛隊は、左右の外翼下面にプローブ・アンド・ドローグ方式の空中給油ポッドを各1個ずつ装備できるKC-130H空中給油・輸送機を2機保有していますが、KC-46Aの導入により、KC-130Hは本来の任務であるUH-60Jへの空中給油や輸送に専念することができます。
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