ガラケーからスマホへ パイロットから見た海自P-1哨戒機の、P-3Cからの進化とは?

海上自衛隊は、洋上の監視などを主任務とする哨戒機としてP-3CとP-1とを運用していますが、両者の初飛行には50年もの差異があります。その半世紀のあいだにどれほどの進化を遂げたのでしょうか、現役パイロットに聞きました。

P-3Cのほうが良かった点は「あまり思い浮かばない」

 P-1のコックピットには従来機と同じ形の操縦装置こそあるものの、これは飛行制御コンピューターへ「機体をどう動かしたいか」の指示を入力するコントローラーであり、実際に機の姿勢を制御する空力舵面(動翼)とは機械的につながっていません。あらゆる状況において、パイロットの一定の操作に対しては常に一定に機体が動くよう、飛行制御コンピューターが舵を微調整しています。

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操縦装置は飛行制御コンピューターへの入力装置としての役割を担う。その気になればゲームパッドにすることも不可能ではないという(関 賢太郎撮影)。

 P-3Cや飛行制御コンピューターを持っていない一般的な飛行機は、速度が変化するたびに「トリム」と呼ばれる装置を操作しなければ、操縦桿を保持するために力を加え続けなければならなくなったり、またゆっくり飛んでいるときは大きく操縦桿を動かし、高速で飛んでいるときは少しだけ動かすといったような、微妙な操作が必要であったりします。

 なお、飛行制御コンピューターから空力舵面を動かす油圧モーターに対し信号を送る通信線は光ファイバーを使用しており、これはP-1が世界初の航空機です。従来型の金属の通信線を使用したものは「フライバイワイヤ」、P-1のような光ファイバーを使用したものは「フライバイライト」と呼びます。

「ほかにも、P-3Cのオートパイロット(自動操縦)は高度を保持する機能をはじめ簡単なものしかありませんでしたが、P-1ではコンピューターに所望のコースなどを入力すれば、自動でそのとおりに飛行してくれます。P-3CからP-1への機種転換訓練では、最初はどうしてもクセといいますか、P-3Cの感覚でラダーを踏んでしまい『おい、滑っているぞ!(横滑りを発生させている、の意)』と教官に言われるなどしましたが、P-1に慣れ、使いこなせるようになれば、各種機能はとても有効的であり、操縦自体はとても楽に感じられます」

 P-3CからP-1へ乗り換えるにあたって、逆に「P-3Cのほうがよかった」と思うことはないのでしょうか。

「P-3Cのほうが良かったところ、というのはあまり思い浮かばないですが、『自分で操縦していたな』という実感はあります」

 諸隈1尉は「自動車で言うならば、オートマ車とは違ったマニュアル車特有の楽しみに似た感覚はあったかもしれません」と、目を細めました。

【写真】どう飛んでいるか直感的にわかるP-1の「飛行計器表示(PFD)」

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