【空から撮った鉄道】線路に囲まれた、都心の車両検査工場を上空から

東京の都心には、JR東日本の車両工場があります。工場と言っても定期検査や修繕などを行う施設で、その名は「東京総合車両センター」。場所は大崎駅と大井町駅の間に位置し、かつては大井工場と呼ばれていました。

「大井工場」と言う方がしっくりくる

 去る2019年8月24日(土)、東京総合車両センターで恒例の一般公開が開催されました。私も学生のころはよく一般公開へ行き、覚えたての一眼レフで車両展示を撮影していました。よく「大井町の基地」とか「大井工場」と言ったものです。

 どうしてもその呼び名のほうが頭にこびりついているので、現在の東京総合車両センターという名称はいまいちピンときません。そういえば同じ場所なのかと、ときどきハッとします。

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西側から捉えた東京総合車両センター。入場中の総武快速・横須賀線のE217系や中央・総武線各駅停車のE231系などの姿が見える。画面下のE217系はグリーン車2両が切り離され、普通車も3両と、検査工場ならではの光景だ(2010年12月11日、吉永陽一撮影)。

 東京総合車両センターはご存知の方も多いかと思われますが、かつては大井工場と呼ばれていました。そのルーツは、日本初の鉄道開通前年の1871(明治4)年に設立された、車両修繕や組立などを行う「工部省鉄道寮」です。当初は新橋にあり、1913(大正2)年に現在地へ移転するとともに「新橋工場大井派出所」となり、やがて大井工場となりました。

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山手線E231系500番台が並ぶ。6扉車を取り替えるために組み込まれた4扉車は、屋根の色が微妙に異なる。そのE231系500番台もE235系投入により、山手線から姿を消そうとしている(2013年9月6日、吉永陽一撮影)。

 戦後は、1967(昭和42)年に大井工場の敷地を集約して、山手線を収容する品川電車区が誕生。1985(昭和30)年に山手電車区に名称変更、2004(平成16)年に山手電車区と大井工場を合併して現在の名称となりました。大井工場と呼ばれていた時代が長いためか、私はつい「大井工場の一般公開」と言ったほうがしっくりくるのです。

 さて、大井工場……もとい、東京総合車両センターの空撮ですが、ここも前回の浜名湖と同じで管制圏内にひっかかっているのです。なので、察しのとおりフラッと寄り道飛行して空撮することが困難で、事前に撮影ポイントを管制官に伝えます。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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