「映え」な幻の橋も奇跡の全露呈! 北海道 三国峠をゆく路線バスにいま乗りたいワケ

北海道の帯広と旭川を結ぶ都市間バスのうち、道内の国道でもっとも標高が高い三国峠を越える便があります。車窓に広がる絶景もさることながら、沿線で話題となっている「幻の橋」も、見どころのひとつです。

「まるで古代遺跡」 タウシュベツ川橋りょう、人気の秘密

 タウシュベツ川橋りょうは、バスが通る国道側から糠平湖を挟んだ東側に位置し、「ノースライナーみくに号」が停まる五ノ沢バス停から北へ1.5kmほどのところに、橋を遠くから眺めるための展望台もあります。しかし、これを間近で見るには、森林管理署の通行許可が必要な林道を通るため、地元のガイドセンターが主催する指定のツアーに参加するなどしなければなりません。また、周辺にはヒグマなども生息しており、装備面の対策も求められます。

 このように近づくこと自体が容易ではない橋ですが、SNS「インスタグラム」において2019年8月28日現在、「タウシュベツ橋梁」のハッシュタグが付けられた写真が5600件以上もアップロードされています。なぜこれほど人気を集めているのでしょうか。

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11連のコンクリートアーチ橋であるタウシュベツ川橋りょう(2019年8月、宮武和多哉撮影)。

 タウシュベツ川橋りょうは前出のとおり、帯広駅と十勝三股駅(北海道上士幌町)を結んだ旧国鉄士幌線の橋として、1939(昭和14)にタウシュベツ川へ架けられました。しかし、戦後の糠平ダム建設にともない、周辺はダム湖(糠平湖)へ沈むことになり、この橋を含む一部区間は1955(昭和30)年に新しいルートへ付け替えられました(その後、1987〈昭和62〉年に路線廃止)。こうしてタウシュベツ川橋りょうは、16年で使命を終え、糠平湖のなかに取り残されたのです。

 糠平湖には夏から秋にかけて水が貯め込まれ、橋は徐々に沈んでいきます。そして暖房需要が高まる冬場に発電が続けられ、春に湖が干上がると橋が再びその全容を現す、というサイクルが約60年も続いてきました。この年月を経たコンクリート製アーチ橋の「古代遺跡のような朽ち果てた姿」が、いわゆる「インスタ映え」のスポットとして人気を集めている理由だと、地元のガイドさんは話します。

 しかしそれは「早いペースで劣化が進んでいる」ということでもあり、いつ橋が崩壊してもおかしくない状況にあるのです。

 旧国鉄士幌線の橋は、タウシュベツ川橋りょう以外にも現存しており、一部は「ノースライナーみくに号」の車窓からも眺めることができます。しかし、タウシュベツ川橋りょうだけは、湖に沈む過酷な環境にあることから、ほかの橋と比べ10倍ほど早く劣化が進んでいるそうです。つまり、この橋が使われなくなってからの約60年という歳月は、約600年ぶんに相当する、というわけです。

【地図】「ノースライナーみくに号」のルート

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