「映え」な幻の橋も奇跡の全露呈! 北海道 三国峠をゆく路線バスにいま乗りたいワケ
橋も、バスも いま行っておくべき理由
ガイドさんによると、かつてのタウシュベツ川橋りょうは、地元の人が登って釣りをするような場所だったといい、地元以外では長いあいだ忘れられていたそうです。しかし、鉄道ファンのあいだで廃線への関心が高まるにつれ、少しずつその存在が口コミで広まり、10年ほど前から現地を案内するツアーも始まりました。現在では予約が困難な場合もあるほどの盛況ぶりで、鉄道ファン以外の来訪も増えているといいます。
また、この橋は1年のうちに周辺の環境が刻々と変化していくのも魅力のひとつでしょう。水を湛えた時期の水面に映った姿、凍ったダム湖からぽつんと顔を出した姿など、訪れるたびに光景が変わり、遠方から何度も訪問する人も多いそうです。ちなみに、2019年の夏は渇水でダム湖に水がない時期が長く、8月21日(水)に訪問した際は、橋の周りに野草が茂り、蝶が舞っている光景を見ることができました。現地の状況は、ガイドツアーを主催するNPO法人ひがし大雪自然ガイドセンターのウェブサイトなどで随時発信されています。
タウシュベツ川橋りょうの今後もさることながら、この近くを通る「ノースライナーみくに号」も、先行きは決して安泰ではないでしょう。狩勝峠経由の便より15分ほど所要時間は短いものの、乗客数の低迷もあり、2010(平成22)年には2往復から現在の1往復へ減便されました。なにぶん沿線人口が少なく、温泉街を抱える糠平地区ですら人口が100人を切り、小学校も2019年度で閉校という状況です。沿線に新得や富良野といった市街地を抱える狩勝峠経由の便と比べても、不利な状況といえるでしょう。
【了】
Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)
香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。
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