ドイツ渾身の報復兵器「V-1」の恐怖! WW2期ロンドンを襲った自爆ドローンの元祖とは

精度はイマイチながら約2万発も発射すれば…

 V-1がはじめてロンドンを攻撃したのは1944年6月13日、「史上最大の作戦」として有名なノルマンディー上陸作戦から1週間後のことです。それ以来、V-1はドイツが降伏するまでの間に約2万発以上が発射されましたが、その多くが目標地点に到達することはありませんでした。

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ドイツ空軍のハインケル He111爆撃機に吊られたV-1。一部のV-1がこのように爆撃機から発射されたが、あまり成功はしなかったという(画像:アメリカ空軍)。

 その理由として、まず連合軍が戦闘機や対空砲火を効果的に運用してV-1を迎撃する体制を整えたこと、そしてもともとV-1の誘導装置などに関する信頼性が低く、目標に到達する前に墜落するか、あるいは目標を大きく外れた場所に着弾したということがいわれています。特に連合軍による迎撃に関しては、戦闘機が機銃を発射して迎撃すると自機が爆発に巻き込まれる恐れもあったため、戦闘機の主翼をV-1の翼にぶつけてバランスを崩し、墜落させる方法などさまざまな手法がとられました。

 しかし、少ないながらも目標に到達したV-1は絶大な被害をもたらしました。たとえばV-1の主要な攻撃目標だったロンドンでは、死者約6000人を含む合計約2万4000人が被害に遭っています。

 こうした絶大な威力と、さらに前述した独特のエンジン音も相まって、V-1はロンドン市民に心理的なダメージをも与える恐ろしい兵器となったのでした。

【了】

【写真】日本にも落ちていたかも アメリカ軍のV-1コピー兵器、JB-2「ルーン」

Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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コメント

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2件のコメント

  1. すみません。 巡航ミサイルと自爆無人機の違いが分かりません、そもそも区別するべき理由も

  2. 自爆ドローンの元祖はむしろミステルではないでしょうか。