ドイツ渾身の報復兵器「V-1」の恐怖! WW2期ロンドンを襲った自爆ドローンの元祖とは
ロンドン市民を恐怖のどん底に陥れた「ブンブン爆弾」
V-1は、1944(昭和19)年からドイツ空軍で運用が開始された無人兵器で、弾頭を搭載した本体後部上面にパルスジェットエンジン(間欠的に燃焼する簡単な構造のジェットエンジン)を搭載し、両側面に大きな主翼を備え付けたその見た目は、まさしく「飛行爆弾」です。また、搭載するエンジンが発する独特な音から、連合軍からは「ブンブン爆弾(buzz bomb)」とも呼ばれました。
V-1は、地上に設置された射出装置から発射され、その後は内蔵式の誘導装置によって目標地点へと飛翔する仕組みで、射程は約250kmを誇ります。当初はフランスから発射され、イギリスの首都ロンドンを標的とした攻撃に用いられましたが、戦局の悪化にともない、連合軍に奪取されたベルギーの都市なども標的となりました。
このV-1の最大の特徴は無人であるという点で、長射程ミサイルがない当時、兵士の命を危険にさらさずに敵国を攻撃できるというのは非常に大きなアドバンテージとなりました。また、V-1の構造は比較的簡素なもので、かつほぼ同時期に運用された弾道ミサイルの始祖である「V-2」よりも安価に製造することができました。このように見てみると、これまでV-1は巡航ミサイルの元祖として知られてきましたが、現在でいえば自爆ドローンのほうがより近い存在なのではないかと、筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は思います。
ちなみに、一般的に知られているこの「V-1」という名称は、あくまでもドイツ語の「報復兵器1号(Vergeltungswaffen 1)」の略称で、この兵器の正式名称は「フィーゼラー Fi 103」といいます。
すみません。 巡航ミサイルと自爆無人機の違いが分かりません、そもそも区別するべき理由も
自爆ドローンの元祖はむしろミステルではないでしょうか。