なぜいずも型を空母に? 海自艦艇ひゅうが型やおおすみ型の空母化が無理な理由

「ひゅうが」型護衛艦の空母化が無理なワケ

 ひゅうが型護衛艦は、いずも型護衛艦の前に建造されたヘリコプター搭載護衛艦で、いずも型とそっくりの外観ですが、全長は51m短い197mで、軍艦の大きさを表す基準排水量も5550トン小さい1万3950トンです。全長が短ければ、そのぶん甲板も狭くなるので、確かに空母としてはデメリットになりうる要素ですが、ひゅうが型護衛艦が空母化に向かないわけは、それだけではありません。

Large 191010 izumo.hyuuga 02

拡大画像

真上から見たひゅうが型護衛艦2番艦「いせ」。四角い線で囲まれたのがエレベーターで、艦尾の艦番号の直後にある灰色の四角い区画がVLS(画像:海上自衛隊)。

 ひゅうが型護衛艦は、艦内から甲板上に航空機を出すためのエレベーターが前後で計2基ありますが、両方とも艦の中央に設けられています。
 
 それに対していずも型護衛艦は、前部エレベーターこそ艦中央にありますが、後部エレベーターは艦橋後部、右舷に寄せて設置されています。この設置方法だと、仮にエレベーターよりも大きな航空機であったとしても、機体をはみ出させつつエレベーターの上下動が可能です。
 
 ひゅうが型護衛艦のエレベーターは両方とも艦体の中にある、いわゆる埋め込み式なので、将来的に大型の航空機を運用することになった場合、エレベーターの拡張は事実上不可能です。さらにエレベーターで航空機を上げ下げしている最中は、艦内でも甲板上でも航空機を前後で移動させたり、発着艦させることができなくなってしまいます。
 
 いずも型護衛艦ならば、後部エレベーターは右舷に寄せて設置してあるため、それを使って航空機を上げ下げするぶんには、艦内も甲板上も飛行機の移動や発着艦を妨げることはありません。
 
 またひゅうが型護衛艦は、ミサイルを射出するためのVLS(垂直発射装置)を艦尾右側に装備しています。これは艦体に埋め込んであるため、この区画ぶん、甲板や艦内の航空機運用スペースを削っているのですが、取り外すには大改修が必要です。

【写真】戦艦だった先代の「日向」

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

8件のコメント

  1. エレベーターが小さいからって記事に書いているけど
    ちょっと論点が違うわ。
    オスプレイは使用可能だしね。実機を使って格納庫に収納しているからね。
    今後開発されるヘリ機体が大きくならないとは限らない。F35も
    寸法的に搭載可能だよ。説得力不足です。

  2. ひゅうが型で固定翼機運用が無理なら、ひゅうが型と比較して同規模でインボード式エレベーターのインヴィンシブル級、20m短くインボード式エレベーターのジュゼッペ・ガリバルディ、同規模で3ノット低速のプリンシペ・デ・アストゥリアス、20m短く7ノット低速のイオージマ級とかは何故ハリアーを運用していたんですかね?

    >将来的に大型の航空機を運用することになった場合~
    ひゅうが型の20×13mのエレベーターに載せられないような、CH53KやF14よりも大型の40トン超の艦載機が一体いつ開発されるんですかね?

    エレベーターや甲板が小さい小さいとか連呼すらなら、固定翼機運用に必要ななサイズを具体的に言ったらどうですかね。

  3. ひゅうが型で一番問題なのは、エレベーターがインボード式という点ではなく、前部エレベーターの大きさが20m×10mであり、F-35B(15.61m×10.67m)が載らないことだ。
    後部エレベータ(20m×13m)だけでは、運用効率が大きく落ちる。
    エレベーターを拡張しようとすると、甲板の穴を広げなくてはならず、艦体強度に悪影響を与える。

    おおすみ型については、車両甲板にUH-60JAを格納した実績があり、搭載できないわけではない。
    また、MV-22運用の為に航空関係の艤装が改善されている。
    F-35Bを運用するというのは、艦型が小さ過ぎて改造する価値がない。

    今後の最善策として
    いずも型(F-35B専門)とひゅうが型(ヘリ専門、FCS-3Aに改修)を組にして運用。
    おおすみ型は、アメリカ級をタイプシップとした代艦を建造するのがいい。

  4. 中国空母遼寧や山東は既に南シナ海や台湾沖に来ています。特に遼寧は尖閣を目指すでしょう、ひゅうが型は確かに小さく戦闘機を載せても8機位でしょうが、いずも型で13機遼寧は40機以上載るでしょう。ひゅうが型は小回りも効き、自船防衛能力がいずも型と比べたら遥かにすぐれている。ひゅうが型はオスプレイを載せており改修価値は非常にあります。問題は尖閣の制空権を取るか取らないかです。ヘリコプターは論外です、数で劣っている日本の戦闘機を増やすにはひゅうが型を改修するしかないし、いちから空母をつくる時間はありません。尖閣を守るには制空権を取るしかないのです。制空権を取れば、制海権も取れます。沖縄の基地から飛ばしても間に合いません、中国の空母は目の前にいますよ。

  5. おおすみ型は「輸送艦」

    「いせ」「ひゅうが」は
    「いずも」のベースになったが
    甲板が狭いし短い
    更に艦尾に
    Mk41ミサイル区画が16セル
    魚雷発射装置が3つと
    かなりの攻撃力がある

    「いずも」「かが」は
    艦隊行動するので
    「イージス艦」や汎用護衛艦数隻が
    護衛する‼️

    たがら自衛の機関砲と自衛ミサイルしかない

  6. 「いせ」「ひゅうが」は
    「いずも」のベースになったが
    全長が短い
    (いずも248メートル、いせ、ひゅうがは198メートル)
    いずも、かがは26000トン
    ひゅうが、いせは19500トン

    だからF35Bの運用は出来ないから
    いせ、ひゅうがは「ヘリコプター搭載護衛艦」

  7. 「おおすみ」型は輸送艦‼️
    「ひゅうが」型は
    「いずも」型より
    全長が短い
    エレベーターがインボート式
    艦尾にミサイル発射セルがある等で
    今回の空母改造はされなかった

  8. エレベーターが右に寄せてあると言えばそうだけど、甲板エレベーターか、舷側エレベーターかの違いが大きな意味を持つのでは?そこに言及しないのはどうかと思う。