なぜその場所に? 街から離れた「ポツンと始発駅」その事情を捜索

なぜここに? 様々な事情を持つ「ポツンと始発駅」

 同じように接続路線がなくなってしまったのは、熊本電気鉄道藤崎線の藤崎宮前駅(熊本市)です。この駅は元々途中駅で、路線はその先の上熊本駅(同)まで道路の上を走っていました。その後、藤崎宮前~上熊本間は水害による運休を経て熊本市交通局に譲渡されますが、1970(昭和45)年には廃止され、この駅は市街中心部から800mほど離れた場所にポツンと取り残されてしまいました。現在は路面電車の延伸などが検討されていますが、未だにどの計画も実現していません。

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熊本電気鉄道藤崎線の藤崎宮前駅(2009年7月、宮武和多哉撮影)。

 市街中心部から離れた藤崎宮前駅は朝晩以外とても静かで、20年近く前のポケベルの看板広告がつい最近まであるなど、時代からもポツンと取り残されている感があります。

 JRの駅と路面電車で連絡していたパターンは、静岡鉄道の新静岡駅(静岡市)もありますが、こちらは元々の市街地が新静岡駅近辺であり、「新静岡セノバ」などの商業施設がある新静岡駅周辺の方が、400mほど離れているJR静岡駅(同)よりにぎわっている状況です。また、同じ静岡鉄道の東側の終点、新清水駅(同)もJR清水駅から700mほど離れていますが、こちらは近隣がJR清水駅より寂しく、新静岡駅とはかなり対照的です。

 やや寂しい場所にポツンと始発駅がある場合は、旅客以外の目的地が存在することがあります。たとえば都営浅草線 西馬込駅(東京都大田区)の先には車庫(馬込車両検修場)があり、その車庫の手前にポツンと造られたのが西馬込駅です。

 JR桜島線(JRゆめ咲線)の終点、桜島駅近辺(大阪市此花区)は日立造船の工場に囲まれた場所にありましたが、工場の跡地にユニバーサル・スタジオ・ジャパンがオープンし激変。日中寂しかった終着駅は一転して目の前が“夢の世界”と化し、「ポツン」とは言えなくなりました。

【写真】時間からも「ポツン」と取り残された始発駅

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