デビュー近い「DMV」注目される成否 線路も道路も走行OK 地方鉄道をどう救うのか?

阿佐海岸鉄道で導入する理由

 DMVは、ローカル線のコスト削減を目論んだJR北海道が開発に着手しました。ただし先に挙げた欠点を克服できず実用化を見送りました。その後、国土交通省が導入検討会を設置して開発を引き継ぎました。その過程で各地のローカル鉄道が導入を検討し、実証実験を実施しました。しかし、欠点を克服できず、実用化に至りませんでした。

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世界初の営業運転に向けて用意されたDMV車両。阿波海南文化村のイベントにて(2019年10月、杉山淳一撮影)。

 そのDMVを阿佐海岸鉄道で導入する理由は、2019年1月28日に開催された「第4回 阿佐東線DMV導入協議会」に記載されています。協議会の出席者は阿佐海岸鉄道の出資自治体、徳島県、高知県と沿線4自治体の代表です。導入の目的はおもに4点あります。

(1)阿佐東地域の活性化に貢献
 阿佐海岸鉄道沿線地域はサーフィンで全国有数の海岸があります。しかし、それ以外の知名度はあまり高くありません。そこで、車両自体が観光資源になるDMVによって、新たな人の流れを期待します。

(2)地域公共交通の維持・充実に貢献
 高齢化が進む阿佐東地域にとって、乗り換え不要な交通路線網が最適です。阿佐海岸鉄道の甲浦駅、海部駅は高架にあり階段しかありません。高齢者やベビーカー、車いす利用者には使いにくい状況です。DMVで問題を解決できます。

(3)阿佐海岸鉄道の経営改善
 列車運行の燃費と維持費の削減が期待できます。

(4)防災面の強化
 沿線地域は「南海トラフ巨大地震」の被害が想定されています。大規模災害発生時に残った線路と道路をつなぎ、被災者支援を迅速に行えます。

 補足しますと、阿佐海岸鉄道は開業以来、27年連続で営業赤字です。これまでに沿線自治体が約13億円の基金を積みました。しかし、その残りは約2億円となり、赤字の削減は急務となっています。

【写真】ほぼ「バス」な車内

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コメント

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5件のコメント

  1. > DMVは車両が軽いため、検知装置を作動できない場合があります。
    重量で検知なんかしねーよ。

    • 言葉足らずな記事とはいえ、
      重量も関係しますよ。

      軽いと軌道短絡が起きず、
      踏切が閉まらなかったり
      信号が正常に作動しなかったりと。

      さらに詳しく知りたいのであれば、
      近江鉄道のレールバス導入失敗事例と、
      京急の制御電動車化について。

      この2例をネットで検索してください。

  2. 一番の欠点は万が一の事故でしょうな。
    鉄道事業者として触れたく無いだろうけど、
    踏切(阿佐海岸鉄道にはないが)や落石などと。
    レールバスが廃れた理由のひとつがそれだからね。

    そのために踏切で一旦停止や
    少しでも危険と判断したら時速10km/h以下で運行。
    なんてやってたら鉄道として成り立たない。

  3. この記事を読む限りでは、話題性以外のメリットが感じられないし、結局うまく行かないような気しかしない

  4. マイクロバスを改造したタイプだと線路上の方向転換が出来ず(ターンテーブルが必要)、乗降口が進行方向左しか無い。昔存在したレールバスをベースにすれば解決できるだろう。