艦長より怖い海自の先任伍長って何者? 上官に意見できる例外的立場、その存在意義

艦長も敬意を払う「部下」

 艦長や艇長以下の幹部自衛官(士官)が1年から3年で艦から異動するのに対し、「先任伍長」は長年、艦艇に乗り続けたベテランとして現場を仕切ります。また幹部ではないため、「先任伍長」とはつまり、階級でいちばん下の2等海士(以前は3等海士からも)からのたたき上げであることを意味し、若手隊員の相談に乗ることもあるそうです。

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イージス艦「こんごう」の先任海曹室入り口。先任海曹は他の曹士とは別に部屋が用意されている(2010年8月、柘植優介撮影)。

 だからこそ、誰よりも現場が長く、海や艦艇のことを知っている存在であり、ゆえに「先任伍長」は上官たる幹部に指示を出し、時には幹部の命令を訂正することも可能なのです。

 そうしたこともあり、艦艇のトップたる艦長や艇長といえども、「先任伍長」に対しては敬意を払って接するそうです。また知識も豊富で技量にも優れているため、若手幹部などは相対すると緊張で震えることもあるといいます。

 彼ら先任伍長の胸元には、金色の「先任伍長識別章」が輝きます。

【了】

【写真】左胸に輝く金色の「先任伍長識別章」のアップ。

Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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コメント

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9件のコメント

  1. 艦長が数年で異動するなんて驚きです。頻度が短かすぎでは?いろんな艦艇を経験することがキャリア形成につながるのものなのでしょうか?

  2. 先任伍長は最古参ではなく、現在はただの役職なので海曹長の中から推薦で選ばれます。
    だから昔ほど威厳はないし、ましてや上官の意見に逆らう先任伍長とか聞いた事ありません。今は下からも舐められてる先任伍長も多数居ますし、上官に逆らったり、最も怖かった武闘派先任伍長は昭和の時代の過去話

  3. 現場の叩き上げですからなあ!!そういう人の具申は重要なのです

  4. こういう現場の親方って、いなくなりましたよね。

  5. 偶然見た事があるが、呉所属の船に乗せてもらってことがあるが、海自の新兵が食堂の熱湯の圧力釜の中に先輩の指導で手を入れていたのを見た事がある。完全なイジメなのにその後全く報告が無かった。やっぱ海自は恐ろしいところだと震えあがったことがある。

  6. 私は過去に潜水艦に乗ってましたが、先任伍長より先任兵長の方が怖かった。

  7. 米海軍では有用なシステムだが、海自ではあまり役に立っていない。
    そもそも先任伍長の学校がない。ただのご意見おじさん集団であり、らofficeウェアすらまともに使えない方たちが多い。「メールうっとけ」などと若い衆に平気でのたまう。
    海自にはまだ早い。

  8. 陸自も米軍を真似て上級曹長を取り入れてるようですが。自衛隊にはそぐわない。米軍の古参はいくつもの戦場を経験し・・・生き残り、まだ続けてる。だから、すげーなこいつって兵隊も幹部も一目置くわけで。
    形だけの真似は意味ないかもですね。

  9. 先任伍長であろうがなかろうが明らかに間違った命令だったら意見できるはどの階級も同じ。
    また先任伍長も自分の好みや気分で上官に意見するわけじゃないから先任伍長だけが特別だという事はない。