日本の空 なぜエンジン2基の飛行機(双発機)だらけになったのか? 鍵は「ETOPS」

「ETOPS」とは? 最新機種では5時間以上もエンジン1基で飛行可能

「ETOPS(イートップス)」は「Extended-range Twin-engine Operation Performance Standards」を略したもので、国土交通省は「双発機による長距離進出運航」と訳しています。

 エンジンの信頼性が高まってきたなか定められたルールで、機体の設計や、航空会社それぞれの運航能力など、一定の基準を満たした機体は、特例として60分以上空港から離れたところも飛べる、というものです。認可を行うのは、アメリカ連邦航空局(FAA)と欧州航空安全機関(EASA)です。

 これで、たとえば「ETOPS-120」に認定されると、その機体は「エンジンひとつでも120分(2時間)飛べる」とされ、緊急着陸できる空港への距離が120分の場所まで飛べます。なお「ETOPS-120」は1985(昭和60)年、ボーイング767シリーズが初取得したもの。日本もFAAに準じて当時の運輸省が1989(平成元)年、同シリーズの「ETOPS-120」を認めています。

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「ETOPS」の認定を受けているANAのボーイング767-300ER型機。機首部分のドア下に「ETOPS」の文字がある(2019年10月、乗りものニュース編集部撮影)。

 その後、「ETOPS」の数字部分は増えていき、エアバスの最新機種A350型機は「ETOPS-370」、ボーイングの最新機種787型機は「ETOPS-330」に認定。両機とも、エンジン1基で5時間以上飛べると担保されています(航空会社によって認定されていないもの、認定時間が異なるものもあり)。

 このように、双発機のエンジンが故障した場合に、残り1基のエンジンでも長時間飛行が可能になったことから、太平洋を横断するような長距離路線でも双発機が就航できるようになりました。言い換えれば、そこへ3発機や4発機を導入する必要がなくなりました。これもいま、双発機ばかりになった背景のひとつとして挙げられます。

【了】

【写真】日本の航空会社で現在唯一の「4発旅客機」

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コメント

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2件のコメント

  1. 何故か?
    伊丹空港には双発機の乗り入れ禁止
    昔のジェットエンジンは
    パワーも信頼性もなかったから双発になり
    アメリカへは
    アラスカでの給油が必要
    また、当時は60分以内に緊急着陸出来る事だから
    大平洋は飛べなかった
    777,787の双発機はETOPS330分
    A350はなんと370分

  2. 日本の空というか、双発化は世界の流れですけどね。エアバスとボーイングに限って言えば3発機は新規開発されていないし、4発機はA380が生産を終了しB747-800も新規の発注はほとんどないと聞きますから。

    日本はむしろ遅かったくらいです。ANAはコストのかかるジャンボ機を退役させ、運行効率のいい777に切り替えましたが、JALは切替が遅れたことで赤字体質となり経営破たんにつながりました。