過酷な潜水艦生活 女性起用がなかったのも仕方がない? 「トイレ逆流で自沈」処分も

かつての最大の問題はトイレ

 いまでは問題なくなっていますが、第2次世界大戦中の各国の潜水艦では、トイレの問題もかなり深刻でした。潜航中にトイレが使用できないタイプの潜水艦もあり、その場合はフタ付きのバケツで用を足すこともあったそうです。旧日本海軍の場合はその面では恵まれており、潜航中でも使用できたそうですが、排泄物を一時貯めておくタンクに高圧空気を注入して海中に排出する方法をとっていたため、トイレ内の圧力が低いとタンクから逆流することがあり、その際は艦内が大変なことになったそうです。

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広島県呉市の海上自衛隊呉史料館(てつのくじら館)で展示されている、2004年まで現役だった潜水艦「あきしお」のトイレ(柘植優介撮影)。

 しかし、艦内に汚水があふれるくらいならばまだマシな方なのが、昔の潜水艦の過酷さ。ドイツのU-1206という潜水艦は1945(昭和20)年4月14日に、乗組員がトイレ操作を誤ったことで潜航不能に陥りました。同艦のトイレ排水機構はとても複雑で、バルブを開閉する正確な順を教わる必要があったそう。しかもちょっとでも操作を間違えると、すさまじい勢いで逆流する仕様になっていたとか。

 その逆流した汚水により、艦内には浸水が発生。潜航時に動力として使う蓄電池が汚水に触れてショートし、猛毒の塩素ガスが発生するという最悪の事態になり、緊急浮上しました。この浮上した場所が悪く、イギリス軍の哨戒機にすぐ見つかり自沈処分することに。乗組員はイギリス海軍の捕虜になったそうです。

 2019年現在、海上自衛隊が所有する潜水艦は、冷暖房完備でシャワーなどの設備も充実しており、昔とは比べものならないほど快適になっています。前記した女性自衛官の体験乗船では、そのために仮設のドアなどをつける処置もしたそうです。近い将来、女性乗組員も誕生するかもしれませんね。しかし、依然として潜水艦乗りになるためには、心理適正検査でストレス耐性が強いと判定されなければいけないそうで、選ばれし者しか働けない現場であることは事実のようです。

【了】

【写真】狭い! それでも昔よりマシ? 潜水艦「あきしお」の寝室

Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)

ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。

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コメント

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5件のコメント

  1. 海上自衛隊における潜水艦への女性自衛官の起用は、ほかの艦艇に比べ10年以上遅れています。

    何でもかんでも女を起用する必要はない。
    特に、女は男とは違い、ほぼ4週間周期で体調が変わる。
    そうした特性を無視して起用するのは問題だろ。
    戦争に生理休暇はないからな。

  2. タイトルに違和感。女性起用と自沈処分はあんまり関係ないですよね。

  3. 仮設ドア付ける時点で無理とわかったはず。SASのように男女一緒にシャワー浴びれるならいいと思う。

  4. 「ホット・ベッド」じゃなくて「ホット・バンク」では。少なくとも米軍はそう呼ぶようです。ちなみにバンクとは、船舶の寝棚のことです。

  5. 食事が一番豪華なわけねーだろ。すぐに生鮮食品なくなるってのに。戦闘航空団が圧倒的一番。戦闘機パイロット様様