なぜ路線バスは衰退したのか? 地方は大幅赤字 かつての「バスの黄金時代」あだに?

バス事業にとって効率がよかった日本

 第2次世界大戦後、日本の人口は急増しました。さらに農業から製造業やサービス業へ、また農村から都市へと社会構造が変化したこともあり、通勤通学輸送は爆発的に増加しました。一方で都市部の鉄道インフラ整備や、地方部での自家用車普及には時間がかかったため、路線バスの輸送人員は急増し、「バスの黄金時代」を迎えました。

 また多くのバス事業者は、小売業や不動産業なども地元で幅広く展開しました。故田中角栄元首相が、長らくバス会社の経営者でもあったことに象徴されるように、政治家を輩出する事業者も多く、各地のバス事業者は「地元の名士企業」となりました。

 そもそも、温暖湿潤な気候に恵まれた日本は、欧米に比べて人口密度が極めて大きいため、路線バス事業にとっては効率のいい市場です。また、多くの事業者は戦時中、国内の競争を抑制することなどを目的に、国の政策により中小事業者らが合併して誕生したもので、直接的に競争することはありません。豊かな風土がもたらした高い人口密度と、競争のない業界構造が、路線バス事業をビジネスとして成立させたといえます。

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昭和の時代に多かった、丸みを帯びた「モノコックバス」の例。北海道夕張市で有志が保存している1967年式のもの(2019年10月、中島洋平撮影)。

 自家用車が普及した1970年代後半からは、輸送人員が低下し始めました。しかし、その後に訪れたバブル経済は、中心市街地に多くの土地を保有する路線バス事業者の経営に余裕を与えました。不動産開発など副業の利益、またこのころ急成長した高速バス事業の黒字で路線バスの赤字を補填するという「内部補助」によって、路線バス事業は「延命」したのです。

【写真】片道6時間以上! 日本最長の路線バス

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コメント

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3件のコメント

  1. 地方の公共交通は、
    相違と工夫も重要だけど、
    根本的には採算度外視。

    湯水のごとく予算使うのはダメとしても採算がどうのこうの。
    そんな時代は終わり。

    例えば駅から小一時間かかって30km先の在所まで。
    運賃は対距離で800円
    と仮定。

    運転士にかかる経費が一時間1500円
    バスの燃料が平均3km/リッター
    今軽油がリッター130円前後だから走るだけで1300円
    その他の経費も掛かるわけで…

    駅から終点まで(もちろん逆方向も)常に5人乗り通してトントン。
    そんなの全ての路線ではムリ。
    結局は採算考えると破綻。

  2. 二種免許なしでも有償輸送できるようにしたら良いんじゃないでしょうか。
    Uberもタクシー業界の反対で潰されちゃってますが、これも原則OKってことにして。

  3. ・便数が少ない。
    ・所要時間が長い。
    ・乗り降りがしんどい。
    ・運転手が無愛想。
    金銭面だけ見るのでなく利用者目線で見て、こんなの誰が好き好んで利用する?
    儲かってる時にサービス向上に背を向けたつけ、または手遅れな公的補助のつけが、現状を招いた。利用者減ったら即減便または値上げ、高齢利用者が増えても大型2ステップが当たり前。「ポンチョみたいのが昔はなかった」ではなく、行政や事業者が強く指導・要望すればもっと早い時期にそのような車両も出て来てたはずで、利用者減少のペースはもう少し押さえられてたのではないかな。