なぜ路線バスは衰退したのか? 地方は大幅赤字 かつての「バスの黄金時代」あだに?

地方でバスは「大きすぎる」? 自治体に求められる明確なビジョン

 逆に、地方の中山間地(おおむね平野の外縁から山間地にかけての地域)では、数十人をまとめて移動させるバスというサービスだと「大きすぎる」ことが課題です。今後、自動運転技術はもちろんのこと、複数の人の移動ニーズを把握して柔軟にルート設定を行う、バスとタクシーの中間のようなサービスを開発、定着させるなど、ITを活用して地域の足を守る工夫が必要です。

 そして当面、最も課題となるのが、大都市と中山間地の中間に位置する、地方都市の周辺です。輸送人員が減少したとはいえ、路線バスは依然として公共交通の中核を担っています。しかし、民間事業者が運行し、税金から補助金を投入する制度では、運行ルートやダイヤを柔軟に変更し利用者のニーズに対応することにも限界があります。そのため、2013(平成25)年に制定された交通政策基本法は、自治体に対し、先頭に立って地域公共交通網を再構築することを求めています。

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予約に応じて運行する「デマンド交通」の車両例。従来のバスよりも小さい(画像:国土交通省)。

 もっとも、これまで公共交通は事業者が主体的に運行してきたことから、自治体にはその知識やノウハウが不足しています。運行管理のノウハウはもちろんのこと、「〇〇高校の前に、朝8時ごろ、どの地域からどれだけの生徒が通学する」といった情報を握っているのは、おもに民間のバス事業者です。今後は、まちづくりの一環として地域公共交通のあるべき姿を自治体が明確に示すとともに、自治体とバス事業者が緊密に連携して、地域の足を守っていく取り組みが重要になるでしょう。そしてバス業界には、昭和期の「バス黄金時代」とは事業環境が大きく変わったことを自覚し、人口減少の時代に合った事業モデルを探る努力が求められています。

【了】

【写真】片道6時間以上! 日本最長の路線バス

Writer: 成定竜一(高速バスマーケティング研究所代表)

1972年兵庫県生まれ。早大商卒。楽天バスサービス取締役などを経て2011年、高速バスマーケティング研究所設立。全国のバス会社にコンサルティングを実施。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員など歴任。新聞、テレビなどでコメント多数。

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コメント

3件のコメント

  1. 地方の公共交通は、
    相違と工夫も重要だけど、
    根本的には採算度外視。

    湯水のごとく予算使うのはダメとしても採算がどうのこうの。
    そんな時代は終わり。

    例えば駅から小一時間かかって30km先の在所まで。
    運賃は対距離で800円
    と仮定。

    運転士にかかる経費が一時間1500円
    バスの燃料が平均3km/リッター
    今軽油がリッター130円前後だから走るだけで1300円
    その他の経費も掛かるわけで…

    駅から終点まで(もちろん逆方向も)常に5人乗り通してトントン。
    そんなの全ての路線ではムリ。
    結局は採算考えると破綻。

  2. 二種免許なしでも有償輸送できるようにしたら良いんじゃないでしょうか。
    Uberもタクシー業界の反対で潰されちゃってますが、これも原則OKってことにして。

  3. ・便数が少ない。
    ・所要時間が長い。
    ・乗り降りがしんどい。
    ・運転手が無愛想。
    金銭面だけ見るのでなく利用者目線で見て、こんなの誰が好き好んで利用する?
    儲かってる時にサービス向上に背を向けたつけ、または手遅れな公的補助のつけが、現状を招いた。利用者減ったら即減便または値上げ、高齢利用者が増えても大型2ステップが当たり前。「ポンチョみたいのが昔はなかった」ではなく、行政や事業者が強く指導・要望すればもっと早い時期にそのような車両も出て来てたはずで、利用者減少のペースはもう少し押さえられてたのではないかな。