もうひとつの500系新幹線「WIN350」 熾烈な飛行機との戦いに挑んだ高速試験電車

航空機という強力なライバルを持つ山陽新幹線。500系新幹線の300km/h運転に向け、500系900番台を名乗った試験車両に「WIN350」があります。丸い車体など独特な風貌の意味は何なのでしょうか。

500系の丸い車体はWIN350ゆずり

 WIN350の試験結果を反映した500系電車は、一見WIN350の面影は残っていないように見えます。しかし極端に丸い車体断面は、WIN350で検討された、断面積の縮小と天井高さの確保を両立した結果生まれた形状で、15mの長いノーズも、WIN350のノロングノーズをもとに必要な長さを割り出したものです。パンタグラフとカバーも数々の形状を試験した結果、軽量かつ低騒音のパンタグラフと空気抵抗を減らした全長の長いカバーに落ち着きました。

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山陽新幹線を走る500系電車(2011年11月、恵 知仁撮影)。

 外見は大幅に異なりますが、WIN350で得られたデータは500系電車にしっかりと反映されています。それは所要時間にも表れており、500系電車は新大阪~博多間を最速2時間17分で結びます。同区間における航空機と新幹線を合わせた輸送量のうち、新幹線は約87%と成果を上げています。WIN350がひらいた高速化への道は、現在も高い競争力として山陽新幹線を支えています。

 なお、WIN350は1996(平成8)年に廃車。中間車は解体されましたが、先頭車のうち1号車が鉄道総合技術研究所風洞技術センター(滋賀県米原市)に、6号車が博多総合車両所(福岡県那珂川市)に、それぞれ保存されています。

【了】

【写真】500系車内で「運転ごっこ」ができる模擬運転台

Writer:

出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。

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