425km/hの新幹線高速試験電車952・953形「STAR21」 総合力を武器にしたその戦いの歴史
新幹線の速度向上には環境対策は必要不可欠。静かに速く走るために、高速試験車のSTAR21には、どんな機構が組み込まれたのでしょうか。車両だけでなく、レールなどインフラの技術にも工夫がありました。
環境性能を維持しながら高速化へ
日本の新幹線は住宅密集地を高速走行する関係で、厳しい騒音規制があります。そのため、単純にモーターをパワーアップして高速走行が可能になったとしても、騒音が大きければ営業運転はできません。したがって新幹線を高速化するならば、同時に騒音を抑制する技術も高めていく必要があります。
JR東日本が1992(平成4)年に製造した低騒音高速試験電車952・953形は、環境性能を維持しつつ最高速度を高めるためのデータを収集する目的で製造されました。愛称は「STAR21」、「Superior Train for Advanced Railway toward the 21st century(21世紀の素晴らしい電車)」の頭文字をとったものでした。
形式がふたつに分かれている理由は、2種類の走行装置を比較するためです。952形は、これまでの新幹線と同じひとつの車体にふたつの台車を装備したボギー構造、953形は小田急電鉄の50000形ロマンスカー「VSE」のように、車体と車体のあいだに台車を装備する連接構造が採用されました。乗り心地や静粛性を比較できるようになっています。
STAR21は、以下の4つのコンセプトをもとにデザインされました。
・安定した高速走行を実現する車両。
・環境対策を確立する車両。
・軽量化を極限まで追求する車両。
・乗客に快適な空間を提供する車両。
同時に、この4つのコンセプトをいかに融合するかも、設計上の大きなポイントでした。
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