「ミグ」の名を世に知らしめたMiG-15戦闘機の「衝撃」 朝鮮戦争でF-86と激突

史上初 ジェット戦闘機同士のドッグファイト勃発

 そして1950年11月8日、ついに歴史上初めてとなる「ジェット戦闘機VSジェット戦闘機」のドッグファイトが行われました。この戦いの勝利者はアメリカ空軍ジェット戦闘機F-80C「シューティングスター」であり、MiG-15は撃墜されていますが、劣るF-80Cと勝るMiG-15の性能差は歴然であり、「ミグショック」への対抗は急務でした。そして当時、まだアメリカ本土にしかなかった新鋭機の急きょ投入を決定します。

 1か月後、福岡県のアメリカ軍板付基地(当時。現在の福岡空港)にアメリカ空軍の新鋭機F-86A「セイバー」が到着。即座に実戦投入されました。そしてF-86とMiG-15の両機は、性能向上型も含め、1953(昭和28)年の休戦まで数百回にも及ぶ熾烈なドッグファイトを繰り広げます。

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韓国への亡命に使われた元北朝鮮空軍のMiG-15。沖縄で評価試験中の写真。向かって左の大口径37mm機関砲は1発でF-86の機体を切り裂く威力があった(画像:アメリカ空軍)。

 北朝鮮空軍、またはのちに参戦した中国空軍パイロットたちは、お世辞にも上手いとは言えない素人ばかりでした。彼らはほとんどの場合、MiG-15の高性能を活かしきれずF-86に敗北しています。しかし無線で「なぜか流暢なロシア語をしゃべるパイロット(ソ連は名目上参戦していないことになっていた)」だけは違いました。ロシア語をしゃべるパイロットたちは国連軍から、リーダーを意味する日本語を語源とする「ホンチョウ(班長)」と呼ばれ、F-86と対等以上に戦っています。

【写真】「ミグ」といえばMiG-21戦闘機

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コメント

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1件のコメント

  1. 面白い。キルレシオが書いてあれば尚良かった。
    太平洋戦争に関する記事に関しては愛国奴の批判コメが多いけど朝鮮戦争は誰もいねえな