独自進化F-14やMiG-29など東西の戦闘機が混在 特異なイラン空軍 何があったのか?

太古の昔から東西の文物が行き交ってきた中東地域ですが、21世紀現在、イラン空軍の戦闘機もそうした様相を呈しています。米製F-14「トムキャット」とソ連製MiG-29が並ぶその軍容は、同国が歩んできた複雑な歴史を反映したものです。

イランが米ソ両方にそっぽを向かれたワケ

 しかし1979(昭和54)年に発生したイラン革命後、成立した現在のイラン・イスラム共和国は、一転して反米政策を打ち出します。同年11月に革命勢力が人質を取ってアメリカ大使館を占拠したため、アメリカはイランと断交し、革命前に導入したF-14などの部品の調達が不可能になりました。

 冷戦時代、アメリカをはじめとする西側諸国と敵対する国の多くは、旧ソ連などの共産圏から武器を輸入していましたが、イランは革命の翌年の1980(昭和55)年に、当時旧ソ連が肩入れしていたイラクと戦争を始めてしまったため、旧ソ連から戦闘機などの兵器を導入することも困難な状況になってしまいます。

Large 20200116 01
イラン空軍のMiG-29UB戦闘機(画像:Shahram Sharifi[GFDL 1.2〈https://bit.ly/35PrVsh〉])。

 このためイランは非合法な方法で、アメリカ製戦闘機の部品を調達して空軍戦力を維持しようとします。1988(昭和63)年には日本の企業からF-4戦闘機に搭載する、「サイドワインダー」空対空ミサイルの飛行安定化装置が不正輸出され、輸出した企業の社員が有罪判決を受けるという事件も起こっています。

 イラクとの戦争終結後、イランは旧ソ連からMiG-29戦闘機、中国からMiG-21戦闘機をコピーしたJ-7戦闘機をそれぞれ導入していますが、旧ソ連、中国ともイラクやほかのアラブ諸国への配慮から、イランの要求よりも少ない機数しか輸出しておらず、革命前に導入したアメリカ製戦闘機を更新することはできませんでした。

 その後イランは1991(平成3)年に発生した湾岸戦争で、イラクから亡命してきたフランス製のミラージュF1戦闘機と、旧ソ連製のSu-22戦闘機を接収して、自国の空軍の戦力に組み込みます。こうして1990年代前半の時点でイラン空軍は、アメリカ、旧ソ連、フランスの3か国が製造した、合計7機種の戦闘機を運用する状態になっていました。

【写真】「鮫の口」はお約束 イラン空軍仕様F-4「ファントムII」戦闘機

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  2. 片山さつき大臣「実態調査はじめます」 街のクルマ屋の「保険代理店打ち切り」問題に新局面 ビッグモーター事件の余波に再び切り込む!
  3. 「海自最大の護衛艦」と「世界最大級の軍艦」が洋上で並んだ! 圧巻の編隊航行を上空から捉えたショットが公開
  4. 「USB挿しっぱ」でクルマが“故障”する? 三菱公式の投稿にSNS騒然 「一体ナゼ?」「これマジで起きるよ」
  5. 海自艦がロシア海軍の「超静かな潜水艦」を確認!浮上航行する姿を捉えた画像を防衛省が公開
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  3. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  4. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号