独自進化F-14やMiG-29など東西の戦闘機が混在 特異なイラン空軍 何があったのか?
そして独立独歩の道へ 独自開発の戦闘機は戦力化できるの?
湾岸戦争以降、イラン空軍は新しい戦闘機を導入できておらず、戦闘機戦力の老朽化が進んでいます。このためイランは国内で、F-14をはじめとするアメリカ製戦闘機の予備部品工場や、大規模なオーバーホール施設を建設し、また国産ミサイルの運用能力を追加するといった改良も加えて、主力であるアメリカ製戦闘機の運用を続けています。
その一方でイランは、F-14やF-4などに比べて構造が簡素なF-5E/Fの設計を流用した新戦闘機「サエゲ」と「コウサル」の、開発と戦力化を進めており、冒頭で述べたように、現在のイラン空軍は合計9機種の戦闘機を運用する空軍となっています。
「サエゲ」は、原型機であるF-5Eの垂直尾翼が1枚であったのに対し、F/A-18戦闘機のような、外側に傾けた2枚の垂直尾翼を備えており、空力性能やステルス性能が向上したと見られています。
「コウサル」は一見すると原型機のF-5Fと変わりなく見えますが、イランはレーダーや電子装置の更新によって、1980年代に実用化された、F-16などの第四世代戦闘機と同等の能力を持つと主張しています。
「サエゲ」と「コウサル」に関しては情報が少なく、イランが本当にこれらを戦力化できるのか、疑問視する声も少なからず存在します。ただ、機齢が40年以上に達したF-5やF-4、F-14を運用し続けるだけの技術力があることから見て、「サエゲ」「コウサル」の戦力化は十分可能なのではないかと、筆者(竹内修:軍事ジャーナリスト)は思います。
【了】
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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