ミラーレス化の流れ 潜水艦にも 進化する潜望鏡 ズームやシェアも容易に

デジタルカメラはいまやスマートフォンを始めとして、様々なものに搭載され、その機能は年々進化しています。その技術革新は潜水艦の潜望鏡にも影響を与えており、海自潜水艦の潜望鏡もデジタル式が当たり前になりつつあります。

リアルタイムの情報共有は潜望鏡でも可能に

 潜望鏡のデジタル化により、すでに「非貫通式潜望鏡」というものが実用化されており、海上自衛隊ではそうりゅう型潜水艦から装備されています。

「非貫通式潜望鏡」は前述のように、耐圧殻に大きな穴をあける必要がないため、船体強度に与える影響が最低限で済みます。また従来のように潜望鏡の位置が固定化されないため、セイル直下にこれを覗く場所(発令所)を設ける必要がなく、船内配置に柔軟性が生まれます。

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停泊中のおやしお型潜水艦のセイルから伸びた光学式潜望鏡。デジタル式ではないため伸縮しない貫通式である(柘植優介撮影)。

 しかも光学式ではないため、潜望鏡先端で捉えた外部映像は、大型ディスプレイなどに表示することが可能で、複数人で同時に見られるほか、画像の拡大、明度やコントラストの調整までディスプレイを見ながら細かく行えます。さらには、デジタルデータとして自衛隊の通信回線で瞬時にほかの艦や航空機、陸上基地などに送ることが可能です。

 録画機能を使えば、とりあえず海上の映像さっと録っておいて、潜望鏡をしまった後でゆっくり映像解析するというようなことも可能です。光学式に比べ、潜望鏡を海上に出しておく時間を大幅に短縮できるというわけです。

 ほか、光学映像とともに暗視画像やサーモグラフィー(熱線)などで同時に目標を捉えることもできます。このように潜望鏡のデジタル化はメリットが多く、潜水艦の性能アップに貢献する可能性が大きい技術です。

 しかし、デジタルカメラや地上波デジタルテレビと同じで、いきなりブラックアウトする、いわゆる非表示になる可能性もあわせ持っています。光学式の場合は、見えにくくなったり、視野角が狭まったりすることはあっても、いきなり見えなくなることはありません。そこはデジタル化の弊害で、オンかオフしかなく、まさに見えるか見えないかのどちらかです。

 そのため、そうりゅう型潜水艦ではバックアップ用として、従来型の光学式潜望鏡も併せて搭載しています。それゆえに、そうりゅう型ではいまだセイル下に発令所がありますが、将来、潜望鏡2本ともデジカメ搭載の非貫通式になれば、発令所の位置だけでなく、セイルの小型化やより強固な耐圧殻が実現し、潜水艦自体のスピードアップや潜航深度の増大などが実現しているかもしれません。

【了】

【写真】潜水艦の中枢、潜望鏡2本を備えた発令所

Writer:

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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