旧日本海軍 知られざるもう1隻の「大和」 地図に残るその偉大な測量の業績
測量艦「大和」の地味ながら重要な活動
戦艦「大和」に対して測量艦「大和」というのは、とても地味に聞こえます。しかし、いまも昔も、海底の地形を把握しておくことは海軍にとって大変重要で、測量という行為には政治的な意味も大きく関わっています。初代「大和」も戦艦「大和」に劣らない、国家の重要任務を担ったのです。
当時はソナーのような音響測量機器などもなく、測量は陸地の定点を基準にし、陸地が見えないところでは位置が確定した点の海面にブイを浮かべて、三角測量を繰り返していきます。海の深さを測るのは、おもりを付けたロープを垂らし海底までの距離を測るという、地道な作業の繰り返しでした。同時に海底の地質を調べるために、おもり袋には牛脂などを詰めて砂を付着させ、回収し分析するという作業も並行して進められたそうです。こうして、各国は独自に海図を作成し、そのデーターは国防に係わる重要な国家機密になります。
海軍力の整備は、ただ艦艇の数を増やせばよいというものではありません。艦隊が行動する海域の正確な情報が無ければ、艦は水深の浅い海域に入り込んで行動不能、最悪座礁ということにもなりかねません。潜水艦が海中を活動する時代に入ると、測量の重要性はさらに高まったことは言うまでもありません。
また測量を行うということは、地面に国旗を立てるのと同じで、権益を主張するという意味もあります。
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