旧日本海軍 知られざるもう1隻の「大和」 地図に残るその偉大な測量の業績

旧海軍の超ド級戦艦「大和」は、同名艦としては2代目です。その知名度に比べ初代「大和」のほうはあまりに知られていないといえるでしょう。測量艦としても運用された初代の偉大な航跡と、「測量」の重要な意味を追います。

ペリーの黒船も実施した「測量」の意味するもの

 江戸時代末期の1853年6月、神奈川県の浦賀へ、「黒船」ことアメリカのペリー艦隊が来航しました。彼らは武装した短艇を繰り出して、浦賀周辺だけでなく、護衛艦艇を付けて江戸湾にまで侵入して測量を実施しています。

 これは測量という実務的な面だけでなく、権益を主張する外交的な威圧であり、さすがに当時の幕府も抗議しています。係争海域に測量艦を派遣するということは、一種の挑発行為であり戦争につながることさえあります。測量艦は海洋における、国家主権を主張するシンボル的な任務もあるのです。

 測量艦「大和」は、日本沿岸や日本海で地道に活動を続けます。冒頭に紹介した「大和堆」は、1926(昭和元)年に「大和」が精密測量したことから名づけられたものです。ちなみに同じく測量艦となった姉妹艦の初代「武蔵」も、北海道の留萌沖、礼文島から南南西の日本海にある浅所を測量し、「武蔵堆」とその名を残しました。こうした活動で発見された海域は、現在でも日本有数の好漁場として国益に大きく貢献しています。

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1900年に撮影された帆装撤去後の「大和」。

 測量艦「大和」は1935(昭和10)年4月1日に除籍となり、司法省に移管されて、浦賀港で係留されたまま少年刑務所として使用されました。その後、就役から半世紀が経過し老朽化が進むと、解体のため横浜の鶴見港に回航されますが、太平洋戦争が激化して放置され、そのまま終戦を迎えます。

 やがて1945(昭和20)年9月18日の「枕崎台風」(昭和20年台風第16号)で浸水し、沈没。引き揚げ解体されたのは、さらに5年後の1950(昭和25)年のことでした。軍艦としては除籍されていましたが、2代目の戦艦「大和」よりも長く生き延びていたことになります。

【了】

【画像】日本海に広がる「大和堆」と「武蔵堆」の位置

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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