先端が「T」字状の戦車砲 なぜ最近見ない? 名前は「マズルブレーキ」 その効果とは

戦車の100年にわたる歴史において、その砲の形もずいぶんと変化しました。昔の戦車といまの戦車の砲で大きく異なるもののひとつが、先端にT字状のパーツがあるかどうかでしょう。かつては広く見られたあの「T」の正体に迫ります。

戦車のマズルブレーキはなぜ装着され、消えたのか

 戦車にマズルブレーキが一般的に搭載されるようになったのは、戦車砲の大口径化が進んだ第2次世界大戦中で、ドイツのIV号戦車F2型やティーガーI、イギリスのシャーマン ファイアフライ戦車の砲の先端などを見ればわかりやすいのではないでしょうか。

 戦車砲を大型化するということは炸薬の影響により後座距離も長くなるので、できるだけ砲塔内のスペースを確保するためにも、ガス圧を逃がすマズルブレーキの存在は必要不可欠だったわけです。しかし、ガスを大量に、広い範囲に噴射するため、隠密性を重視したドイツの駆逐戦車では、あえて採用しない車両もあったようです。同じ場所で射撃を続けると、ガスで視界がさえぎられることも問題でした。

 大砲や戦車の火力増に影響を与えたマズルブレーキですが、自衛隊の10式戦車やアメリカのM1「エイブラムス」戦車など、現在の戦車には見られません。これらには「エバキュエーター(排煙器)」と呼ばれる装置がついていて、マズルブレーキの代わりを果たすとともに、排煙を目立たないようにしています。たとえばM1戦車の場合、砲身の途中に見える膨らみがこれにあたります。

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在韓アメリカ軍のM1A2「エイブラムス」戦車。砲の中ほどの膨らんだ部分がエバキュエーター(画像:アメリカ陸軍)。

 2020年現在の戦車は一部を除いて、それまでの、砲身の内部にあるらせん状の溝で砲弾を回転させて弾道を安定させる「ライフル砲」ではなく、砲弾の改良と共に溝の切られていない「滑腔砲」と呼ばれるものになり、その発射の機構に合わせて排煙の機構も変わっています。「滑腔砲」の場合、たとえばロシアの「T-14」のように、そもそもエバキュエーター自体存在しない戦車もあるようです。

 なお火砲や銃器では、マズルブレーキは現役です。映画や演習の映像などで、砲や銃の先端に注目してみると、面白いかもしれません。

【了】

【写真】砲の先にマズルブレーキの見える「パットン」戦車

Writer:

ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。

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コメント

1件のコメント

  1. マズルブレーキとエバキュレーターは、別物だよ。

    役割が全然違う。

    マズルブレーキが無くなったのは、後退機の性能が上がって、照準性能に問題のあったマズルブレーキが避けられるようになっただけだよ。

    堂々と嘘を書かないように。

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