夜間戦闘機「月光」の数奇な人生 斜め銃 レーダー装備で夜に活路 B-29撃墜のエースも

なぜ「月光」は夜間を戦えたのか?

「斜め銃」とは、胴体の上下に前向き30度の角度をつけて装備した機銃のことで、これを用いると飛行する敵爆撃機の後方斜め下側、もしくは後方斜め上側から攻撃を加えることができました。それらの位置は爆撃機にとっては死角になるため効果が高く、特に夜間においては接近を悟られにくい位置になります。

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「月光」一一型。胴体上面のコクピット直後に斜めに突き出ているのが20mm斜め銃。

 考案当初、軍首脳部は効果があるのか半信半疑でしたが、ラバウルの航空部隊が成果を出すと大々的に採用されました。こうして、二式陸上偵察機改造の試作迎撃機は、昭和18(1943)年8月に夜間戦闘機「月光」として制式化されました。

 夜間飛行は、昼間と違って極端に視野が狭くなり、上空と海面や地上との識別が困難になることもあるため、飛行場から飛び立つことはできても迎撃し、帰還するのは非常に困難です。そのため航法や通信が非常に重要で、その点で乗員が手分けしてこれにあたることができる複座機の「月光」は、単座機に比べて有利でした。

 また機体が大柄なため、レーダーを装備することができ、その点でも夜間戦闘機に向いていました。というのも、当時のレーダーは大型で、しかも操作には手のかかるものだったため、パイロットがひとりしかいない単座機に装備することは難しく、レーダーを搭載するのは他国も含めて双発の多座機ばかりでした。

 「月光」は数少ない日本のレーダー搭載機になり、旧日本海軍唯一の夜間戦闘機として用いられます。

【写真】第2次大戦末期に富士山上空を飛ぶB-29

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