「乗り心地の悪さ」魅力 日本唯一の乗りもの「カーレーター」とは …ベルトコンベア?

カーレーターが「日本唯一」であるがゆえの今後の悩みも

 須磨浦山上遊園は、神戸市や明石市の人々にとって、遠足や行楽の定番コースでもあります。カーレーターは「子どものころの、遠足の思い出」「初デートの思い出」などと結びつき、個性あふれる乗り心地とともに、ことさら人々の記憶に残っているのではないでしょうか。

 開園から50年が経過した須磨浦山上遊園ですが、昭和40年代から50年代に数多く導入した遊具やゲーム機、ジュークボックスなどが健在で、かつて遠足で訪れた人々にとっての、「大人の遠足」の場所という役割も果たしているようです。

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山頂側のカーレーター乗り場。回転展望閣と鉢伏山頂はいずれも100m以内にある(宮武和多哉撮影)。

 実はカーレーターの乗り心地は、機器の調整の甲斐あって、10年、20年前より格段に改善されています。ただ、現在は「乗り心地の悪さ」に喜ぶ人々も多いため、丁寧な整備により、絶妙の乗り心地を保っているそうです。

 近年では年間10万人以上の搭乗があるカーレーターですが、その維持には並々ならぬ労力がかかっています。部品などは特注せざるを得ない場合も多く、2016年の設備リニューアルでは、コンベアの部品をヘリコプターで山上に運ぶなど、大掛かりで困難なものだったそうです。また、開業時には44台あったゴンドラを18台に減らすなど、経費を削減しつつ、何とか現役を保っているという状況です。

 唯一、須磨浦山上遊園でしか味わえないレアな「乗り心地」を経験するなら、設備が健在ないまのうちかもしれません。

【了】

【写真】あのタモリさんも乗ったカーレーターの搬器

Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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