空母を内陸の五大湖に浮かべたアメリカ なぜ? 艦載機が多数発着艦 外輪船型空母も

空母は、艦載機で敵艦や敵陣地を攻撃するための、いわば洋上の航空基地です。しかし第2次世界大戦中のアメリカ海軍は、あえて敵のいない自国本土にある湖で空母を運用しました。

史上稀な外輪船型空母の誕生

 アメリカ海軍が選んだのは、1912(大正元)年進水の「シー・アンド・ビュー」と1924(大正13)年進水の「グレーター・バッファロー」でした。まず前者が1942(昭和17)年8月に訓練空母「ウルヴァリン」として、次いで翌1943(昭和18)年5月に後者が「セーブル」として就役しました。

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1943年8月、ミシガン湖で艦載機の発着艦テストを行う「セーブル」。甲板上に見えるのはテストを実施するTDN-1無人軽飛行機(画像:アメリカ海軍)。

 この2隻は訓練専用ということで、対空火器などの兵装はなく、軍艦としての通信設備も必要最低限でした。さらに艦載機は、近傍の陸上基地から飛んできて発着艦訓練のみ行うため、艦載機用の格納庫もありませんでした。

 このように、訓練用空母として必要最小限の改造に留められたため、動力は貨客船時代のままで、石炭炊きのボイラーで左右の水車を回して進む外輪船構造でした。

 空母として就役した時点で、すでに艦齢は「ウルヴァリン」が約30年、「セーブル」が約20年経っていたため、両艦とも第2次世界大戦が終結するとともに必要なくなり、1945(昭和20)年11月に揃って退役しました。

 しかし2艦は訓練用空母として、短い現役期間中に合計で11万6000回もの艦載機の着艦訓練に従事し、両艦で訓練を受けた艦載機パイロットの人数は、合計で1万7820名にものぼりました。

 アメリカが大戦中に数多くそろえた空母機動部隊の骨幹を支えたのは、大西洋と太平洋から大きく離れた五大湖にいた2隻の外輪船型空母だったといえるでしょう。

 ちなみに、「セーブル」で訓練を受けたパイロットのなかには、後に第41代アメリカ合衆国大統領になった「パパブッシュ」ことジョージ・H・W・ブッシュもいます。

 なお当然といえば当然ですが、訓練中に操縦ミスなどで数多くの機体が水没しました。わずか2年ほどのあいだに120機以上が水没しているそうで、大戦後、ミシガン湖からは40機以上が引き揚げられていますが、いまだ80機近くの機体が湖の底に眠っているといわれています。

【了】

【写真】訓練でよかった 飛行甲板で逆立ちしたF4F艦上戦闘機

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子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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