ソ連と米英の技術を合体 イスラエル戦車「チラン」とは? 元T-54/55 最後は装甲車に

2010年代初頭、「MOTTAINAI:もったいない」という言葉が環境問題で注目されましたが、イスラエルはタダで手に入れたとある戦車を実に大事に、戦車として使えなくなっても改造してまで使用してきました。

数百両も敵戦車を手に入れたイスラエルがとった手段

 T-54/55戦車は、第2次世界大戦後に旧ソ連が開発し、ポーランドやチェコ、中国といった国々でもライセンス生産されたため、総数10万両以上を誇る世界最多の量産戦車で、約70か国で使用されています。T-54とT-55のおもな違いは、NBC(核、生物、化学)防御力の有無や、エンジン出力、砲弾や燃料の搭載量などで、外見的にはほとんど変わらないため、多くの場合、同一の車両としてカウントされています。

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1974年の第4次中東戦争で、スエズ運河西岸のエジプト領内を進撃する「チラン」戦車(画像:イスラエル国防軍/IDF)。

 前述したように、第3中東戦争でアラブ諸国から大量に捕獲したT-54/55戦車を「チラン」の愛称で使い始めたイスラエルでしたが、アメリカやイギリスの兵器体系で装備を揃えていたため、いくら数が多いといえども、運用するうえで互換性のないことが問題になりました。

 そこで、まず搭載機銃などをアメリカ製の7.62mm機関銃M1919や12.7mm機関銃M2などに交換します。そののち、主砲も当時の西側標準だった105mm砲に換装し、こうして弾薬の互換性を達成しました。

 1970年代半ば以降になると、より本格的な改良として、レーザー測距儀や射撃統制装置(FCS)、赤外線暗視装置、主砲安定装置なども西側規格に準じた独自のものに改修、結果「チラン」は、見た目はT-54/55戦車であっても性能はまったく別の戦車へと進化します。

【写真】エジプト軍のT-54をお持ち帰り中のイスラエル軍

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