「大きい鉄道車両」5選 車体や窓からパワーまで尺度いろいろ 大きな車輪は背丈越えも

大人の背丈ほどある 蒸気機関車の大きな車輪

 鉄道車両の車輪の一般的な直径は現在、路面電車が600mmから660mm、JR在来線や私鉄電車が810mmから860mm(一部910mm)、機関車がおおむね1100mmです。

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京都鉄道博物館で動態保存されているC62形蒸気機関車。動輪直径は大人の背丈ほどもある1750mm(2008年8月、児山 計撮影)。

 しかし機関車のなかでも、蒸気機関車はピストンで動輪を直接動かす構造上、車輪を電車のように高速回転させることができません。在来線の電車用モーターが最大で1分間に5000回転ほどであるのに対し、日本の蒸気機関車は300回転ほどしか動かせません。

 そこで、車輪を大きくしピストン1往復当たりの移動距離を延ばすことで、蒸気機関車は車輪の回転数の少なさを補い、スピードを出そうとしました。そのため高速運転を行う旅客用蒸気機関車のC57形やC61形では、動輪直径が1750mmにもなります。東京駅の「動輪の広場」にはC62形の動輪が展示されており、その大きさを間近に感じることができます。

ハイパワーといえば機関車 編成なら新幹線も

 電車と機関車でパワーを比べるのは難しいので、まずは機関車のパワーを見てみます。

 日本では、コンテナ車なら24両、タンク車なら約16両分に相当する1200トンの貨物列車をけん引しています。現在もっともパワーの大きな機関車はEH200形で、出力は4520キロワット。馬力に直すと約6145馬力です。さらに30分以内であれば5120キロワットまでパワーを出すことができます。EH200形がハイパワーな理由は、中央本線や上越線という長い勾配が続く路線で1200トンの貨物列車をけん引する運用を想定したためです。

 2019年まではEF200形が6000キロワットという大出力を誇っていましたが、変電所の容量が機関車のパワーに対応できず持てる力を発揮できないため、2020年現在は経済的なEF210形に道を譲っています。

 電車では東海道・山陽新幹線のN700系が、1編成の出力1万7080キロワット(約2万3200馬力)を誇ります。新幹線は長い距離を高速で走行するため、在来線よりも大きなパワーが必要です。そのため在来線よりも高回転で回るモーターを高い電圧(2300ボルト。JR在来線では1100ボルト)で駆動し、さらに16両中14両にモーターを装備しています。

【了】

【写真】パワーが大きい車両 長い坂を上る機関車

Writer: 児山 計(鉄道ライター)

出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。

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コメント

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2件のコメント

  1. 新幹線と在来線の架線電圧が間違ってますよ。

  2. 電圧2300Vではさすがに200km/h以上は出ないと思うの……。一部の欧州鉄道で採用されてる直流3000Vだと200km/h出せるかもしれませんが。新幹線25000V、在来線20000Vですな。アメリカなら11000Vやドイツの15000Vでも高速鉄道走らせてるみたいですけど。
    ちなみに750Vでも100km/hは出せるけど編成の車両数が少なくなるのでって話ですね(京阪が750V→1500V昇圧の際に出した広報誌でそんなこと書いてた)。
    ちなみに日本では750Vで最長編成は大阪メトロ御堂筋線及び相互直通する北大阪急行線の19m車10両編成ですかね。地下鉄そこまで高速運転しないから行けるんだと思うんですけど。