旅客機の速度 実は半世紀以上変わらないワケ かつては「スピード競争」も下火の経緯

ジェット旅客機がデビューしてから70年近くが経過し、あらゆる部分で旅客機は大きな進化を遂げていますが、唯一あまり変動がないのが速度です。歴史的な背景をはじめ、そこにはたくさんの理由がありました。

70年以上頑なに破られない「マッハ1」の壁

 1952(昭和27)年に、イギリスのデ ハビランド エアクラフト社が開発した世界初のジェット旅客機、DH106「コメット」が運航開始してから70年近くが経過した2020年、いまやジェット旅客機は、珍しいものではなくなっています。

 そのようななか、ジェット旅客機の「スピード」はどれくらいの進化を遂げたのでしょうか。

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エアバスの最新モデルのひとつ、「A350 XWB」のJAL仕様機(2019年7月、伊藤真悟撮影)。

 旅客機の速度は音速を1とし、それと比べてどれくらいかという「マッハ」で表されることが多いです。マッハ1の速さはジェット機が巡航する高度1万mの場合、およそ300m/秒、馴染み深い時速に直すとおおよそ1080km/hに相当します。

 黎明期のジェット旅客機の巡航速度は、「コメット」がマッハ0.68(約735km/h)、その6年後となる1958(昭和33)年に路線に投入された、ボーイング初のジェット旅客機「707」が、それより早いマッハ0.8(約864km/h)です。

 一方2020年現在のジェット旅客機の巡航速度は、ボーイングの主力機種で、2011(平成23)年にデビューした「787」がマッハ0.85(約918km/h)で、2019年にJAL(日本航空)が導入したことでも知られる、エアバスの最新モデルのひとつ「A350 XWB」も、ドイツのルフトハンザ航空によるとマッハ0.85と、いずれもマッハ1は超えていません。

 黎明期のモデルと現行のモデルとでは、コックピットや座席数、客室の仕様やエンジンの騒音や燃費といったあらゆる点で、著しい進化を遂げています。ところが巡航速度については、ボーイング707が飛んでから現行モデルまで、これらほどは大きく変わっていないのです。

【写真】実はJALも発注 幻の超音速旅客機「ボーイング2707」

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コメント

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7件のコメント

  1. 300m/分なら時速18kmですが間違ってますか?ネット記事は誤植が多過ぎますが、最早記事自体の信憑性まで疑われますよ。

    • ご指摘ありがとうございます。訂正いたしました。

  2. ソ連にも、西側から コンコルドスキー とあだ名された超音速旅客機 Tu-144( だっけ… ) もあったな………

  3. 2020年5月18日の記事 旅客機音速を越えない。の投書300m/分でいちゃもんをつけてましたが。300m/秒の見間違いですよ。記事の正統性うんぬんの批判はこじつけです。たー坊

    • 「見間違い」って、そりゃ修正後だからでしょ
      アホなの?

  4. >ところが1970年代ごろから「速さより量」の時代へと移ります。
    B787の初期構想が「ソニック・クルーザー(マッハ0.9~0.95で飛ぶ予定だった)」だった件……。
    なおアメリカ同時多発テロによる航空需要の落ち込みやハブ・アンド・スポークからポイント・ツー・ポイントへの移行傾向が見られたことから効率の悪さも相まって現在のB787計画になったけど(ボーイングによる与太話説もあったのね。実際、支持は集まらなかったようですが)。

  5. ありがとうございます。やはり旅客機は戦闘機とは違い、速度よりも効率、つまりコスパでありますね。かつて敷居の高い乗り物とまで言われていた旅客機も今は、LCCの登場でより、お手軽に利用できる時代になりました。旅客機の世界では昔も今も、速度よりも効率性を重視していますね。