旅客機の正確な駐機 いつもどうやっているの? パイロットの技量だけじゃない工夫
デジタル化が進む駐機支援も一部では不採用 なぜ?
マーシャラーは地上支援スタッフのなかでも、3か月から4か月の実技訓練を受けたうえで、さらに社内試験などに合格することが必要な、プロフェッショナル職とされています。
パイロットへ指示を出す身体の動かし方は、国際基準であるICAO(国際民間航空機関)によって定められており、たとえば直進の合図は、肩から水平に伸ばした両腕の肘先を内側に曲げ伸ばしする、といったように、ほぼ世界共通のものです。なかには動きに細かい規定がされているものもあるそうで、それを旅客機の状況を見ながら繰り出すには、パイロットと同様、熟練の技術が必要となります。
そして日本では近年、駐機場を多数備える成田空港や羽田空港、中部空港などの一部エリアにおいて、このマーシャリングを機械にさせる動きも進んでいます。その代表的なものが「VDGS(ビジュアル・ドッキング・ガイダンス・システム、駐機位置指示灯)」というもので、赤外線などを用いて旅客機の位置を特定し、電光表示部に所定の位置へ停止するまでの指示を出し、誘導するものです。
ちなみにこの「VDGS」、一部の旅客機では反応しづらいことから、かつては設置されている駐機スポットでも、マーシャラーが誘導していたこともあったようです。
たとえば九州に本拠を構える航空会社、スターフライヤーの旅客機がそうでした。機体の塗装が真っ黒であることから、赤外線による位置特定がうまく機能しなかったといいます。同社によるとその後、空港側のVDGSの改修や、機体の塗装を塗り直したことなどで、徐々に反応が良くなったことにより、2020年現在はVDGSを用いた駐機が一般的に行われているそうです。
【了】
※誤字を修正しました(5月26日13時33分)。
「じゃもじ」ではなく、ご飯をよそる「しゃもじ」の事だと思いますが、どうしてもこのワードに辿り着けません。
ご指摘ありがとうございます。訂正いたしました。