ツイてない! とも言い切れない3発機「MD-11」 旅客型はなくなるも貨物型は健在のワケ
旅客型はなくなった「MD-11」貨物型では現役の理由
ところがこのMD-11、貨物型としては2020年現在も飛び続けています。
これに大きく関わっているのが、アメリカの貨物専用航空会社、フェデックスとUPSです。一般的に貨物航空会社が用いるモデルは、エンジンが多いぶんパワーがあり最大離陸重が上がることから、旅客機と比べて、3発機、4発機などが好まれる傾向にあります。
こうしたことに加え、MD-11は中古でほかの航空会社から購入しても、まだ機齢が若く状態もよかったことなどから、フェデックスとUPSは、おもにMD-11旅客型の中古機を1990年代後半ごろから、いってしまえば「爆買い」し貨物機として使います。製造機数の6割にもなる120機のMD-11が、この2社のどちらかに所属する機体となったこともありました。なお、JALで使われていた10機のMD-11はすべてUPSに売却され、貨物機に改造されています。
MD-11とともに、従来型のDC-10も併用していたフェデックスは、DC-10を改造してMD-11と同じようにふたり体制の運航を可能にし、パイロットの操縦免許も共通化させた「MD-10」という貨物型も運用しており、その重用ぶりがうかがえます。
2020年現在、MD-11の貨物機はまだ現役ではあるものの、ボーイング777F(「F」は貨物専用機を表す「フレイター〈freighter〉」のF)など後発で、同程度の積載量である双発機の台頭などにより、その活躍の場を減らしつつあります。フェデックス、ドイツのルフトハンザカーゴなどは、MD-11の退役させる方針を発表済みです。
一方それら2社とは違う方針をとっているのがUPSです。同社は2020年5月、公式Twitter上で、調達元は明らかになっていないものの、2021年までに5機のMD-11を追加購入すると公表しています。
※一部修正しました(5月26日20時30分)。
【了】
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