ツイてない! とも言い切れない3発機「MD-11」 旅客型はなくなるも貨物型は健在のワケ
JALでも採用されていた3発エンジン機「MD-11」は、その特徴的なエンジン数ゆえに、旅客型としては比較的短命に終わったモデルです。ところが、この貨物型は現在も世界で多くのモデルが飛んでいます。どういった理由でしょうか。
旅客型は全機退役 製造機数は200機弱のMD-11
1997(平成9)年にボーイングと合併した、アメリカの航空機メーカー、マグダネルダグラスは、かつて3発エンジンのジェット旅客機が主力機のひとつでもありました。
1971(昭和46)年にデビューした300席クラスの3発エンジン機「DC-10」は、日本でもJAL(日本航空)やJAS(導入時は東亜国内航空、1988〈昭和63〉年にJASへ社名変更し、2004〈平成16〉年にJALと合併)でも導入されていました。
その見た目の大きな特徴は垂直尾翼下部についた3つめのエンジンです。エンジン3発機というスタイルは、「ジャンボ」などの4発機と比べると、エンジンの数が少ないぶん燃費効率が良いのはもちろんのこと、当時はまだエンジン全般の信頼性が低く、2発の双発機が大陸間の洋上飛行を制限されていたなか、3発機であればこの制限にかかることなく飛行ができるという利点もありました。
このDC-10をベースに、よりハイテク化したモデルが、1990(平成2)年に初飛行したMD-11です。DC-10ではパイロットふたりと、エンジンなどの操作、監視の専任要員である航空機関士の計3人がコックピットに乗り込みましたが、MD-11はこれをパイロットふたりのみで運航できるようにしたほか、胴体の延長や主翼先端に立ち上がったウィングレットをつけるなどのアップデートがされています。
MD-11の売れ行きは200機程度と決して多いほうではありません。これはエンジンの進化で、よりコストパフォーマンスが高い双発機の洋上飛行規制が緩和され長距離国際線を飛ぶ時代になり、そのトレンドに飲み込まれてしまったのがおもな理由です。たとえばJALで導入されていたMD-11の旅客型は2004(平成16)年に全機が退役済みで、世界的に見ても2020年現在、同旅客型の運航はありません。
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