高速バス 新型コロナからの運行再開 「密」回避に知恵絞る業界 今後の需要と課題

高速バス需要は回復するか?

 バス各社は今後、感染再拡大により緊急事態に戻るリスクも考慮し、社会情勢を見極めつつ、運行便数の回復を進めると考えられます。その針路には、期待と不安が入り交ざっています。

 長い自粛期間を経て、日本人は「自由に旅行できることの尊さ」を再認識したはずです。情勢が落ち着けば、旅行需要は、海外や遠隔地よりも近場の目的地から回復すると考えられます。個室で食事できる温泉旅館、屋外型テーマパークやアウトレットモールなどです。

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東京ディズニーランド・バスターミナル・イースト。多くの高速バスが発着していたものの、休園にともなう入構禁止が続く(2019年10月、乗りものニュース編集部撮影)。

 幸い、これらの目的地の多くには高速バス路線が充実しており、宿泊・観光施設や地域と連携を深め、需要に応えることが求められます。旅行需要の回復を目指す政府の「Go Toキャンペーン」は、宿泊料金などの一部を国が助成するものですが、観光地への路線に限定するなど、何らかの形で高速バス運賃も対象となることが期待されます。

 ただ、長期的にみると、国内航空線を上回る年間1億1000万人あった高速バスの需要も、人々の生活様式の変化により、完全に回復しない可能性があります。乗客や乗務員の感染防止に努める「安全な運行」と、その取り組みの可視化による「安心の提供」を大前提としつつ、運行継続のためにも、企業として収益を確保し続けないといけないのです。

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